「K.テンペスト 2019」の千穐楽、当日券で観てきました
「K.テンペスト 2019」、まつもと市民芸術館へ行って観たかったのだ。ほんとうは。シェイクスピアの作品の中で子供の頃、本で読んだことしかなくて映画でも舞台でもご縁がなかった。(琉球が舞台の「テンペスト」は観たけれど)未知の作品だったので興味津々だったので。けれど、六月は歌舞伎座へ通うとわかっていたので泣く泣く断念しようかと思っていたところ、急遽、千穐楽の観劇が決まった。「空中キャバレー」が縁で出会った友人が、ちょうど東京にいるのでいっしょに観ませんか?と誘ってくれたのは、まさに天啓。待ち遠しい「空中キャバレー」の前哨戦?ではないけれど大森さんやTCアルプ、串田さんに会えるのは大きい。若干用意される当日券を求め、早々に家を出た。無事に一番乗り。(この幕の下で待ちました)とは言え自由席だもの、後ろの方かしらと覚悟して中に入れば、どうぞどうぞと中央に招じいられた。多少の戸惑いはあれど、「K.ファウスト」や「空中キャバレー」で鍛えられているので、柔軟に対応。誘われるままに木の椅子に腰かけると、にこやかに話しかけられるだけじゃなく美しい人にお茶まで勧められ、穴に落ちたアリスよろしく不思議の時間を過ごす。次から次へと、いろいろ話しかけてくれて(ガーフィールドの電話機の話もあったね)地球の話をしている時に「串田さんの時代はそうだったかもね」と言ったら串田さんに聞こえていて、ひどいな~と笑って突然うしろから声がしたので、ビックリしたりね、2日前には想像もしなかった夢のような空間にいた。中央に大きなテーブルがあり、背の高さも大きさもまばらな椅子が10個くらいかな、ランダムに置かれている。それが舞台セット。観劇に集中したい人の席も、その外側に設けられている。そうしていつしか、お芝居は始まった。テーブルの席に集まった演者たちが台本を読みはじめ、朗読劇のような趣。言葉の応酬に、誰がどの役?今はどのセリフ?テンペスト=嵐に巻き込まれている感じ。私たちは置物や植物や柱や食器、舞台美術なのかもしれない。耳を傾け、目は見開いても、言葉は失われて存在する。スタンダードな解釈とは違っている気がするけれど、じゅうぶん心惹かれ、何よりもその一人、一人が魅力的で頭も心も、いやそれだけじゃ足りなくて細胞全開で享受しなくちゃ間に合わない。始る前に、とっても気になっていたスキンヘッドの男性がいてでも、手元のプロフィール写真にはそういう髪型の人はいなかったから尋ねたら、草光純太さんだった。その時は髪が長めの人なのにずいぶん思い切ったな!と。だけどね、観始めたら、エアリエルだからなのね、と納得。空気の精の軽やかさと純粋さを表し、髪がない分目力が増した。今まで強面のイメージだった藤木孝さんが、穏やかで広くて、藤木さんが話すとき、自由な解釈の作品にシェイクスピアを感じられた。音楽劇だけあって、なんて美しい声、リコーダーや倍音も溶け込んで夢の世界で漂っていた、この感覚はここでしか得られないもの。どの出演者も好演だったけれど、とりわけ印象に残ったのがTCアルプの皆さん。すぐそばに立っていたキャリバンを観てたらね、終わった後に、その裸足の足にご苦労様って撫でてあげたい気になった。武居卓さんがキャリバンでした。「空中キャバレー」の時に 超楽しい人たちが魅力的な俳優さんであることを目の当たりにした「K.テンペスト 2019」他の公演の時も松本に観に行きたい! DEN /倍音S 音楽チームの方も妖精の役で出ていらした。飯塚直さんの歌とリコーダー、素敵でしたが観劇貧乏の私は悩んだ末にやっと選んだこちらを連れて帰りました。尾引浩志さんの倍音のCD(楽天は中古のしかなかったけれど)ユーミンの番組で観たホーミー(ホーメイ)や、この前のトーハクの音声ガイドにあった声明に関心のある今、なんてナイスなタイミングの出会いなんでしょ。