荒野に咲く花。
『Narcissu 2』感想全編読了。予想もしない終わり方で非常に驚いた…。人を愛する余りに呪いを掛けたエコーとは正反対。これは逝く者と、残される者の関係がどうあるべきかを真摯に描いた作品だ。全てが無為ではなく、想いが積み重なって少しずつ世界が優しくなっていく。姫子とセツミが残した「優しさ」は祈りとなって、荒野に花を咲かせ続けるだろう。水仙の花言葉は「自己愛」。しかしこの作品の結論は明らかに、視野狭窄な自己愛の範疇に止まらない。だから『Narcissus』ではなく、『Narcissu』なのか。これは祈ることを諦めたとしても、決して誰かを呪ったりしないという意志表示なのか。神を呪うエコーと決別し、大好きなアロアの幸せを願い続ける。まるで穏やかな寓話だ。こんな安らぎが与えられるなんて思ってもいなかった…。勿論、若くして死に往く人々が幸せであったはずがない。だが少なくとも、彼女たちが身近な人々や、同じ境遇の人々の幸せを願うことによって、彼女たち自身の悲しみや苦しみが、僅かでも拭われたのは疑いようの無い事実だと。そうやって、信じることが出来るようになった。だから今の俺なら、もう『ナルキ1』も恐れずに再プレイできる。最後にもう一度、セツミの生き様を見届けよう。今ならきっと、彼女の笑顔を臆することなく正視出来るだろうから…。 ― 祈 る こ と を 諦 め た 一 人 と の 出 会 い ―『ナルキ』のダウンロードはこちらからどうぞ。これほどの作品がフリーで遊べる事実が恐ろしくてたまらない…。