市場も落ち着きを取り戻してきたようなので、中断していたランキングを再開したいと思います(もっととことん下がればいいのに・・・・・外人アマイよ)。
第9位 98-99 セリエA開幕戦 ユヴェントスVSペルージャ(1998年)
中田英寿のセリエAデビュー戦です。
この3ヶ月ほど前には日本が初出場したW杯で3戦全敗を喫しており、悲観の中での世界デビューでした。しかも相手のユーヴェは当時世界最強のクラブで(今も最強レベルですが)、ジダン、デルピエロらのスーパースターや鉄壁の守備陣を擁していました。私自身中田が活躍する姿はまったく想像できませんでした。
試合は案の定一方的な展開で、前半だけで0対3という有様でした。
それでも堂々とプレーする中田に、私は予想よりもずっとよくやっていると感じていました。
しかし、後半になるとペルージャが、いや中田が反撃に出ます。10分過ぎ、ペナルティーエリア右からキーパーのニアをぶち抜くシュートを決めたのです。私はしばし状況が把握できませんでした。ユーヴェから日本人がゴール??これは現実か??
さらに私が呆然としているうちに、中田が続けざまに2点目も決めます。キーパーのはじいたボールが導かれるように中田の前にこぼれ、それを落ち着いてボレーで決めたのです。もはや私の常識ラインは完全に崩壊していました。
結局試合は3対4で敗れましたが、翌日のマスコミは大騒ぎでした。なかにはマンチェスターユナイテッドが40億円でオファーを出したという報道すらありました。
それにしてもこのシーズンの中田とペルージャには本当に楽しませてもらいました。毎週日曜が楽しみで仕方なかったです。相手を弾き飛ばしながら単身ドリブルで突き進む中田の雄姿は今も鮮明におぼえています。
最近は目立った活躍の少ない中田ですが、今度のW杯あたりでもう一度あの頃のような煌きを見せてほしいと切に願っています。
第8位 大相撲夏場所 優勝決定戦 貴乃花対武蔵丸(2001年)
貴乃花が膝の負傷をこらえて奇跡の優勝を飾った一番です。
小泉総理の「感動した!」の相撲と言った方がわかりやすいでしょうか。
この場所の貴乃花は13日目まで全勝といつも通り磐石で、優勝は間違いないと思われました。しかし、14日目の無双山戦でアクシデントが起こります。土俵際で突き落とされた際に膝を脱臼してしまったのです。それは一目で分かる重傷でした。目先の一番のためにまわしを緩め、わざと待ったをする無双山に対し、相撲界全体のことを考える貴乃花が明らかに怒り、強引に攻めたために起きた悲劇でした。
それでも千秋楽の土俵に上がった貴乃花でしたが、蹲踞(そんきょ)すらままならない状態です。案の定、武蔵丸との取り組みは相撲にならずわずか1秒で敗れ、2敗で並んだ両者による優勝決定戦となりました。
誰もが貴乃花は決定戦を辞退すると思いましたが、不屈の意思でなおも土俵に上がります。しかし、仕切りすら困難な状況で、館内にもかつてないほどの悲壮感が漂っています。
そして立ち合い、貴乃花は正面からぶつかり、まるで怪我などしていないかのように寄りたて、ついに上手投げで武蔵丸を倒します。
勝負が決した瞬間の貴乃花の表情は凄まじいの一言、まさに鬼神でした。人間は表情にここまで思いを込めることができるのかと打ちのめされる思いでした。
しかし、これが貴乃花最後の優勝となります。場所後長期休場を余儀なくされた貴乃花は翌年復帰しますが、ほどなく引退することになりました。誰より後悔しているであろう無双山を悪く言いたくはないですが、本当に残念な事故でした。
誰よりもストイックで、誰よりも相撲界のことを考え、八百長一切なしで勝ち続けた貴乃花こそ大相撲史上最高の力士であると、私は思っています。