米上院で23日ウクライナ支援法案可決、24日にバイデン大統領も署名して発効、ウクライナに光
アメリカ連邦議会上院は23日、ウクライナなどを支援する緊急予算案を79対19の圧倒的多数の賛成で可決した(写真)。 すでに下院は20日、支援法案を可決しており、バイデン大統領が24日、法案に署名して成立した。同法は、イスラエルや台湾への軍事支援と一体で、うちウクライナ支援分は608億ドル(約9.4兆円)に及ぶ(写真=緊急支援法案成立に喜ぶ人たち)。◎共和党の反対で長い間店ざらし やっと、である。地面のぬかるみの終わった5月下旬にも、テロ国家ロシアはウクライナに大攻勢をかけると予測され、これに対してアメリカからの武器弾薬支援の枯渇したウクライナは、ろくに応戦できなかった。 現状では戦力比は、テロ国家ロシアの5に対してウクライナは1という状況だった。このままでは、ウクライナの第2の都市ハルキウやその他の東部が危ないばかりか、キーウでも親ロシア派の政変で親ロ的な政権ができかねない、と危惧されていた(4月20日付日記:「今年、もしロシアがウクライナに勝ったら――想像もしたくない世界の終わりの始まりだ」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202404200000/を参照)。 アメリカの支援法案が長い間店ざらしになっていたのは、トランプと共和党保守派が反対していたからだ。孤立主義の傾向が強い彼らは、テロ国家ロシアのヨーロッパ蹂躙より自国優先なのである。◎トランプと共和党保守派の心変わりが事態を打開 だがこの支援サボタージュは前掲日記で述べたように極めて危険で、バイデン大統領が何度も共和党に対して法案の速やかな成立を呼びかけていた。 さすがに世論の批判を受け、トランプは支援予算の一部の経済分野を返済義務のある「融資」に切り替えて共和党保守派に納得させた。 この3月、訪米した親ロシア派の強権的なハンガリー大統領オルバンと会談した際(写真)、トランプは「ウクライナとのロシアとの戦争に1銭も出さない」と発言して世界を憂慮させたが、心変わりをしたことは喜ばしい。 こうした姿勢は、下院多数派の共和党のジョンソン議長も変身させた。かつてはウクライナ支援予算に党内多数派に抗して反対票を投じたが、今回は下院共和党を支援予算賛成にまとめた。◎ウクライナ防衛の装備は大幅強化へ、もはやロシアの進撃は無し ともあれこの支援予算で、ウクライナは祖国防衛のために、これまで2年間、アメリカから受け取った軍事援助よりずっと多い額の支援を受け取る。 早ければ週内にも、ドイツとポーランドに待機していた武器がウクライナに送られる。ウクライナはすでに撃ち尽くした携帯型の対戦車ミサイル「ジャベリン」や地対空ミサイル「スティンガー」、射程300キロの長射程地対地ミサイル「ATACMS」(写真)は少し遅れる。 しかしこれらがウクライナに到着すれば、テロ国家ロシアの進撃は大きく阻害される。特にATACMSの配備で、ロシアの黒海艦隊は機能停止に追い込まれるだろう。 アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、ロシアのこれ以上の進撃は困難になったと見ている。昨年の今日の日記:休載