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まいかのあーだこーだ

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2020.06.27
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「プレバト!! 歴代俳句ベスト50」を見ました。

覚えてる俳句もあれば、はじめて見た句もありました。
べつに「異議あり」というほどのことでもないのだけど、
個人的な感想を書きとめておきたいと思います。



まずは梅沢富美男ですけど、
2位に選ばれたのが
銀盤の弧の凍りゆく 明けの星
でした。
たしかに句としての出来は良いのだろうけど、
あんまり梅沢らしくないですよね。
銀色夏生とか、下手したら尾崎豊とか、
なんだか病的なくらいに感覚の鋭敏な若者の句って感じ。
健康な爺さんの句じゃないでしょ。

むしろ、
鯉やはらか 喜雨に水輪の十重二十重
あたりのほうが梅沢らしいですね。

ある意味、梅沢富美男の欠点は、
本人の作風と完成度がいまいち噛み合わないことなのかもしれません。
その点でいうと、
東国原英夫とか、フルポン村上とかは、
本人の作風と、作品の完成度が、うまく噛み合ってるのですよね。



1位になったのは、
花震ふ富士山 火山性微動
という東国原英夫の俳句でした。
富士山の雄大さを美しく描写するなんてのは凡庸だから、
あえて富士山の不穏な側面を切り取っている。
日本は地震列島だし。
思えば、北斎の「富嶽三十六景」なんかも、
赤富士とか、黒富士とか、
けっこう富士山の不気味で荒々しい部分を描いてるし、
そういう意味で、日本らしくてリアリティのある句です。
浅間大社のコノハナノサクヤビメを意識してるってのも、
さすがだなと思います。

秀逸句(上位15句)に入ってたのが、
野良犬の吠える沼尻 花筏
不気味ですね~。なんか気持ち悪い。
でも、こういうのが東国原の作風ですよね。
沼尻というのは地名じゃなくて、
「沼の尻」という本来の意味で使ってる。
そう考えると、
沼尻という言葉自体が、なんかもう気持ち悪い。

同じく秀逸句だった
まるでシンバル 移り来し街 余寒
にもゾクッとするような皮膚感覚がありますが、
これも普通の「五感」というんじゃなく、
なにか根っこの「原記憶」みたいなものを刺激してくる感じです。

東国原の凄いところは、
不気味で、不穏で、異様というだけでなく、
コノハナノサクヤビメの場合もそうだけど、
いつも「言葉の歴史性」を意識しているところですね。
言葉のもともとの意味にさかのぼって使っている。
だから、言葉自体に変な手触りがあるのです。

ちなみに「処刑場」の句はランクインしてたけど、
洞窟の「他言せず」は入っていませんでした。



3位になったのは、
エルメスの騎士像翳りゆき驟雨
というフルポン村上の句でした。
日本の街をヨーロッパに見立てていますが、
「80年代初頭の来生たかおかっ!」って感じで(笑)、
ちょっとキザすぎます。

むしろ、わたしは、
サイフォンに潰れる炎 花の雨
のほうが好きですね。
今までのプレバトの俳句でいちばん好きかも。
これも、まあキザではあるけど、
上質さと、暖かさと、文学的な雰囲気があって、カッコいいです。

もうひとつ秀逸句に入ってたのは、
テーブルに君の丸みのマスクかな
これはイマイチ好きじゃない…(笑)。
もし、かりに、これが、
フジモンが我が子のことを詠んでるんだとしたら可愛いけど、
村上が女性のことを詠んでると思ったら、ちょっとキモチ悪い。
そもそもテーブルの上にマスクを置きっぱなしにしていく女性ってのも、
ちょっとガサツな気がするけど、
そういうガサツな女性の姿にかえって萌えるんでしょうか?
やっぱり、これは、
我が子のことを詠んだ句だと考えたほうが、
「子供は風の子!」って感じで健全だし、好もしいです。



村上とならんで3位だったフジモンの句が
マンモスの滅んだ理由 ソーダ水
これは可愛い。ザ・夏休み!って感じです。

セイウチの麻酔の効き目 夏の空
これも夏休みの水族館。
個人的には「夏の空」よりも遠くの「水平線」を見たい気がするけど。

羊群の最後はすすき持つ少年
これはどうなんでしょうか?宮崎駿??
全日本人がペーターのことを思い浮かべるだろうと思います。



同じく3位になったのは皆藤愛子で、
右肩に枯野の冷気 7号車
どう考えても「さらばシベリア鉄道」ですね。
日本で「7号車」といったら新幹線なのだろうけど、
あんまり「新幹線」と「枯野」の風景は結びつかない。
かりに「3号車」くらいなら、北日本のローカル線って感じだけど。

秀逸句だったキスマイ千賀の句。
雪原や 星を指す大樹の骸
これは、ちょっと風景が嘘くさいです。

千賀はほんとに自分で書いてるのかな?
と、いつも疑問に思うんだけど、
むしろ、率直に感心したのは、
黒き地の正体は海 揚花火
のほうですね。
これはたしかに凡人には書けない句だと思う。

秀逸句に入った柴田理恵の句。
もてなしの豆腐ぶら下げ風の盆
これはもう玄人並みに出来上がっていますよね。
手練れというか、いぶし銀、という感じ。

同じく秀逸句だった鈴木光。
道化師のギャロップのごと牧開
これはどうなんだろう?
「言葉の歴史性」という点で、ちょっと違和感を覚えます。
そもそも「ギャロップ」というのは馬の疾走のことです。
だから、これは「馬の疾走が馬の疾走のようだ」という俳句です。
たんなる意味の重複であって、何も言ったことにならない。
そういう言葉の由来をいったん忘れて、
『道化師のギャロップ』という固有の曲の比喩だと思えば、
いちおうは成り立つ俳句なのかもしれないけど、
でも、たぶん『道化師のギャロップ』というのは、
「馬が疾走してるような道化師の動き」のことだと思うのですね。
だとしたら、これは結局のところ、
「馬の疾走が《馬が疾走してるような道化師》のようだ」
ということで、やっぱり一周回って意味の重複じゃないかと思います。

秀逸句だった中田喜子の句。
連覇のさきぶれ 沸き立つ初電車
元日のラグビーの風景を描いた洒落た句だはと思うけど、
「さきぶれ」の意味がイマイチ分かりません。
辞書を引くと、
「前触れ」「役人が旅先に出す通達」という意味ですが、
どちらの意味とも微妙にズレている気がします。
「連覇した」のか「連覇しそう」なのかも分からないし、
電車内にどんな「さきぶれ」があったのかも、よく分かりません。

優秀句だった藤井隆の句。
6の次 7の菜の花 漕ぐペダル
完全に少女だな(笑)。
ちょっとアイドルポップの香りもする。
兼題写真のアスファルトに「6」と書いてあったらしいのだけど、
この俳句だけを読むと、
数え歌を歌ってるのか、
小学生が九九を覚えてるのかな、って感じですね。






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最終更新日  2022.07.27 17:43:05
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