テーマ:プレバト俳句(29)
カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
プレバト俳句。お題は「本棚」。
今回も「異議あり!」ってほどのことじゃないけど、 個人的な感想です。 ◇ 梅沢富美男は掲載が決定。 非常に印象的な句でした。 いままでの梅沢の句でいちばん面白いかも。 読み終へて 痣の醒めゆくごと 朝焼 ちょっと不思議な作品です。 表向きは「風景」を詠んでるけど、 明らかに「心象」を詠んでいるように思える。 多くの人は、読書後の心象風景だと感じるはず。 ただ「心象」を描いただけの俳句は、 通常なら評価されにくいはずですけど、 この句の場合、 字面のうえで描いているのは、 あくまでも朝焼けの「風景」なのですよね。 実際、梅沢の説明によれば、 中七の比喩は「朝焼」に掛かってるから、 あくまでも「風景」の句であるのに違いない。 でも、結果として、 「痣の醒めていくような朝焼」 という風景そのものが、 読後の「心象」の比喩だと感じられます。 そう思って読むと、 読書体験が「痣」だというのもまた面白いです。 爪痕とか傷跡とかじゃなくて、痣…。 痣を残すような読書体験って、どんなものでしょうか? どんな本を読んだんでしょうか? ◇ もうひとつ、 気になったのが、森口瑤子の句。 謎解きの頁に 蜘蛛は果ててゐる とてもユニークな場面を詠んでると思うけど、 助詞の「は」を使った意味が分かりませんでした。 わたしなら「蜘蛛の果てており」とやるだろうし、 さもなくば「朱き蜘蛛 果てり」などとやると思う。 助詞の「は」を使った意味は何でしょうか? わたしなりに頑張って2つの可能性を考えてみました。 ひとつは、 「あの蜘蛛は、どこにいるんだろう? あ、推理小説に挟まれて死んでいる」という意味。 もうひとつは、 「推理小説の人物の生死は不明だけど、 蜘蛛は、その頁で死んでいる」という意味です。 いずれにせよ、 まるで蜘蛛が小説の世界に入り込んだような、 そんな面白い効果をもたらしてるのかもしれません。 「本に挟まれた蜘蛛は、 生きている?死んでいる? 答:死んでいる」 みたいなサスペンス効果もある気がします。 ◇ ついでにフジモンの句。 扇風機 首振りゆっくり トーベヤンソン わたしなら「ゆっくり首をふり ムーミン」とやったかも。 でも「ムーミン」だけじゃ、ちょっと意味不明ですね。 ◇ ◇ ◇ 水彩画査定も見ごたえがありました。 ナイツ土屋が描いたサボテン。 8時間もかかったそうです。 描くたびに「5才老ける」というほどの集中力だから、 そもそも「好きなものしか描けない」というのも頷ける。 にもかかわらず、 まったく興味のないサボテンを、 おぼんこぼんに見立てて描きあげてみせる発想力には、 ちょっと凄みを感じました。 このほか、 くっきーが描いたプラレールの構図と情感。 アンミカが描いた素麺の美味しそうな涼感。 いずれもすばらしかったです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.12.27 00:28:05
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