今回のテーマは、
さしずめ「ダークファンタジー」ってところでしょうか? ◇ ダンロップは6人も殺した極悪人のようです。 しかし、 そのわりに料理が上手だったり、 陽気に仕事の手伝いをやったり、 身だしなみや身のこなしもよく、 いろんな流行の歌を知ってたり、 ダイアナのピアノ演奏に合わせて楽譜をめくったり、 詐欺師ならではの教養?? も感じさせる…。 考えてみれば、 ネイトとダンロップは、 カスバート家に下宿代を支払ったうえに、 土地の掘削機やら顕微鏡やら地質学の書物まで用意して、 かなりのお金をかけて周到な詐欺をやってますよね。 ◇ ダンロップが、 ダイアナのピアノ伴奏で歌っていたのは、 アリス・ホーソーンの「The Friends We Love」という曲。 アリス・ホーソーンというのは、 「Ten Little Indians」を作ったセプティマス・ウィナーの別名。 本当は怖い歌として知られる「10人のインディアン」は、 インディアンの子供がひとりずつ消えていく内容です。 ちなみにセプティマス・ウィナーは、 ゴシック作家ナサニエル・ホーソーンの親戚なのだそうです。 彼の書いた「緋文字」は暗黒ロマン小説の名作ですけれど、 そういえばネイトの本名もナサニエルです…。 ◇ アンは、 森の幽霊のことを自分で想像して自分でおびえています。 これは原作にのっとったエピソード。 一方、学校の教室では、 英国ファンタジーの「アーサー王と円卓の騎士」を朗読している。 これは、ランスロットが森をさまよう物語でしょうか? ジョーシーは、 ランスロットとグィネヴィア王妃の不倫をなじります。 アンは、原作でもそうだったけど、 やっぱりエレイン姫の悲恋に憧れているようです。 孤独な少年コールは、 授業中にキャメロット王国のお城の絵を描いて叱責されます。 ◇ ところで、 マシューも、アンも、 下宿人の詐欺にはまだ気がついていませんねえ。 とはいえ、マシューはかなり慎重です。 マリラも、 ネイトのことを意識して色気づいたりしてるけど、 金採掘の投資話には容易に乗ろうとしません。 やはりマシューとマリラの兄妹は、 長老派教会の日和見な老牧師なんぞよりも、 よっぽど敬虔な信徒であって、 保守的だし、堅実だし、質実剛健なのですね。 ◇ ギルバートの働く蒸気船はカリブ海に入って着岸し、 トリニダード島に住む黒人たちの実情が描かれました。 奴隷制は廃止されたけど、人種格差は消えていません。 しかし、食文化にかんしては、 プリンスエドワード島よりも、 トリニダード島のほうがずっと豊かなようでした。 … 最近はだいぶマシになったと思うけど、 もともとイギリス人の食べ物って不味いですよね…(笑)。 いつもフィッシュ&チップスばかり食べてるイメージ。 日本人や地中海沿岸のラテン人たちは、 いろどり豊かな野菜や魚介類を豊富に食べるけど、 アングロサクソンやゲルマン系の人たちは、 肉やジャガイモしか食べないから、味覚も乏しいと思う。 プリンスエドワード島は、 ただでさえ保守的なスコットランド系の社会なので、 質素な食文化があまり変化しなかったのかもしれません。 トリニダード島は、 いちおう英国領ではあったけど、 黒人やスペイン人も混じった南の島なので、 そのぶん食文化もいろいろと変化したのでしょう。 ◇ ギルバートは、 閉鎖的な故郷を嫌って広い世界を夢見ています。 一方の黒人たちには、そもそも帰るべき故郷が存在しない。 その対比が描かれます。 そんななかで、ギルバートは、 "にんじん" 呼ばわりしてアンに殴られたことを、 ふと懐かしく思い出したりします。 そのとき割れてしまったアンの石板は、 マシューの小遣いで、やっと買い替えられました。 割れてしまった古い石板は、 アルファベットを覚えはじめたジェリーのために、 マシューが捨てずに取っておいたようです。 ![]() ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.10.08 14:08:39
[アンという名の少女の感想・あらすじネタバレ。] カテゴリの最新記事
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