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まいかのあーだこーだ

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2022.09.03
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先日の「ブラタモリ」 境港・米子編に続いて、
日曜美術館「水木しげるの妖怪画」と、
100分de名著の「100分de水木しげる」を見ました。

やはり、ここでもまた、
「あの世との境界に流れ着くもの」というテーマが浮かび上がる。


1.鬼と妖怪

水木しげるは、
柳田國男の「妖怪談義」を読み込む一方で、
鳥山石燕の描いた「百鬼夜行」からも影響を受けていたようです。

妖怪は、すなわち鬼でもあるわけですね。

うすうす感じてはいたけれど、
やっぱり「鬼滅の刃」も、
鳥山石燕らの「百鬼夜行」のみならず、
水木しげるからの影響があるのだと思います。

なお、今回の「日曜美術館」を見て、
アマビエが不知火海の妖怪だったことを知りました。
不知火海といえば、
手塚治虫の「火の鳥」が棲む火の国の沿岸ですよね。
アマビエは疫病退散の妖怪ですが、
「火の鳥」では薬師の男が不知火海から上陸します。


2.島根半島の海と山と森

水木しげるの「河童の三平」は、
少年時代の作者自身をモデルにしてるっぽいとのこと。
今回の「100分de水木しげる」では、
佐野史郎らが次のように話していました。

境港は古代から開かれた町。
水木さんの実家は弓ヶ浜の突端にある境水道。
境水道を泳ぐと、その向こうは島根半島。
そこは高い山じゃないけれど、のんのんばあが住んでる森なんですよ。
そのさらに向こうが日本海で、
「向こうに何かありそうだ」って思ってる子供だった。その身体感覚。

三平が寝てるうちに川に流されて、
河童と出会い、河童に連れられて、
川の底に行ったら、今度は山が…。
悪魔くんも同じだけど、
「地」と「水」の二つを絞りきれないのは、その感覚。

水の異界も、森の異界も、山の異界も全部ある環境で生きてきた。


ちなみに佐野史郎は、松江出身なのですね!


3.海岸に流れ着くもの

昔の境港の海岸には、人間の死体が流れ着くことがあった。
…みたいなことは、ブラタモリでも話題になっていましたが、
釈徹宗も同じ話をしていました。

すごく死が身近だっていうこと。
はしかなどで子供がわりと簡単になくなったりした。
境港の海で泳いでると、
間引きしてむしろにくるんだ赤ちゃんと当たっちゃった、
っていうような話なんかも出てくる。


あらためてネットで調べてみると、
水木しげるは、間引きした子供の死体や、
自殺した女郎の死体の話などもしていたようです。


4.この世とあの世の境界

先日のブラタモリの内容も、
島根半島の一帯が「あの世との境界」であることを感じさせました。

以下は、中条省平の話。

「あの世とこの世」が対立するとか、
「善と悪」とか「光と闇」が対立するとかいった場合には、
(ふつうは)二元論的な対立のドラマになっちゃう。
でも、そうじゃなくて、
水木しげるが描く境界は、つねに対立する概念が地続きなんで、
ふっとどっちかに行っちゃうような感覚がある。


そして、以下は、
釈徹宗による水木しげるの人物評。

境界に好奇心が高い人。
見える世界と見えない世界、生と死、
日常と非日常、聖と俗、エロスとタナトスみたいな、
境界線上に近づくのがすごく楽しい、興味津々みたいなタイプの人。

境界は大変デンジャラスゾーンでもある。
危険地帯なので、古来、人類は境界をすごく警戒してきた。
たとえば逢魔が時なんかは昼と夜との境界で、
そのときに魔物に会うんだっていうことでしょ。
コミュニティとコミュニティの境界には、
道祖神とか、地蔵とか、塞の神をまつって、
そこは近寄らないっていうような、
そういう危険なところでもある。

でも、
水木しげるっていう人は、そこにすごく関心をもってる。
と同時に、水木しげるならではのものとして、
その境界の近くに「弱者」がいるんだっていう感覚ですよ。
「のんのんばあとオレ」に描かれてる困窮者とか、
最後のほうに出てくる美和ちゃんっていう子なんかは、
本当に厳しい環境に置かれてるんですけども、
すごく境界に精通した女の子なんですよ。
強者って、堂々と王道を歩いてるんで鈍感なんです。
でも「弱者」だからこそ、境界に繊細に接することができる。


そして、伊集院光との会話。

境界だからこそ、
誰もが見てないものとか、見逃してるものがあるから、
クリエイティブです。
その代わり、境界に押しやられちゃった人たちが、
「こんなとこいたくもない」のにいるところでもあるから、
敬意を持てよ、みいなメッセージあるじゃないですか。
「絶対面白いぞ」と「敬意を持って」と両方ある理由なんで。
豊かで面白いんだけども、
軽々しく触っちゃいけない、分かってる気になっちゃいけない。



5.一畑薬師とのんのんばあ

のんのんばあは、
少年時代の水木しげるに妖怪の話を教えたお婆さん。
本名は景山ふさ。
彼女の夫は、一畑薬師の「拝み屋」だったようです。
ちなみに「のんのん」とは、観音さまのこと。

一畑薬師とは、
「目のお薬師様」として知られる臨済宗の仏教教団。
その総本山である一畑寺は、島根半島の山中にあります。
縁起によれば、平安時代の漁師が、
海中から引き上げた薬師如来像を本尊にしたのが始まり。

島根半島の海には、薬師如来も流れ着くんですね。

水木しげるも、小泉八雲も、
海人族の聖地である加賀の潜戸を畏敬したそうですが、
のんのんばあは、
「十万億土は島根半島の先にある」と教えていたようです。

これもまた国引き神話に共通するような世界観。





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最終更新日  2022.09.03 11:36:05
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