カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
秋晴やアリクイさんぽ三時より 解熱剤効き秋晴の午後を知る 数取器始動出水に鶴来る 山粧ふ三年タグ付き登山靴 紅葉且つ散る袖高欄の一樹
プレバト俳句。金秋戦の予選2週目。 お題は「行楽の秋」。 ◇ 森口瑤子。 秋晴や 「アリクイさんぽ三時より」 これが1位。 もっともシンプルで、兼題にも忠実でした。 子供と訪れた動物園の光景。 中七の「さんぽ」が平仮名だからこそ成立しています。 ◇ ミッツ・マングローブ。 解熱剤効き秋晴の午後を知る これはミッツらしいけだるさ(笑)。 番組では、 「熱が下がったときにはもう午後だった…残念」 みたいなネガティヴな意味で読まれていましたが、 わたしは、素直に、 やっと秋晴れを体感できた喜びの句と読みました。 ◇ 篠田麻里子。 山粧ふ 三年みとせタグ付き登山靴 三たび山粧ふ タグ付き登山靴(添削後) 内容的には十分に面白いし、 「山粧ふ」(秋)と「登山靴」(夏)の季重なりも欠点ではない。 いまや登山は一年中行われるのだし、 こういう季重なりには、あまり縛られるべきではない。 ちょっと惜しい出来でしたね。 ◇ キスマイ北山。 紅葉もみじ且つ散る袖高欄そでこうらんの一樹いちじゅ 紅葉且つ散るに遅速の空青し(添削後) 難解な語を使ってはいるけど、 描写した場面そのものは、わりと平易です。 袖高欄とは、橋や階段の入り口部分の欄干のこと。 そこから見た大木が、紅葉してなおかつ散っている…という内容。 むしろ、 ややこしいのは添削のほうでしょ。 はたして「紅葉」に遅速があるのか。 それとも「散る」に遅速があるのか。 そもそも遅速があるからこそ「紅葉且つ散る」なわけでしょ。 つまり「紅葉且つ散るに遅速」ってのは意味の重複なのです。 たとえば、 紅葉こうようの散るに遅速の袖高欄 とするなら分かるけど。 ◇ 中田喜子。 数取器かずとりき始動 出水いずみに鶴来る 鶴来る出水よ カウンター始動(添削後) 鶴岡八幡宮から「鶴」のほうへ発想を飛ばしたって、 そんな飛ばし方あります…?(笑) しかも「鶴来る」は晩秋の季語だし、 ほとんど兼題と関係ないのでは? この句の最大の問題点は、 後段の「出水に鶴来る」が、映像描写ではなく、 たんなる前段の理由説明に見えてしまうことですね。 実際、「数取器が始動したのは鶴が来たから」なのだろうし。 かたや、添削のように前後を逆にしたところで、 それこそ因果関係をなぞるのみで、二物衝撃にはならない。 しかも「数取器」を「カウンター」に直してしまったら、 これは「数える人」や「反撃攻勢」のような誤読にもなりかねない。 なので、 これはカットを分けたこと自体が間違いだというべき! もしワンカットにおさめるならば、 鶴来る出水に数取器の鳴れり でしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.09.12 08:30:06
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