カテゴリ:岸辺露伴は動かない
映画「岸辺露伴ルーヴルへ行く」のTV初放送。
NHKプラスでも配信すると思って余裕こいてたので、 序盤を見逃してしまいました…。 配信がないならないで、その旨アナウンスしてほしいw ◇ 以下ネタバレ考察です。 この物語の設定は、 ちょうど《藪箱法師》と対照関係になってますね。 > 光を反射する鏡は人を映すが、 > 光を吸収する「絶対的な黒」が映すものは何か? > …それは過去だ! ご神木の祠にあった鏡は、 抑圧された人格《藪箱法師》を現出させたわけですが、 ご神木の樹液が生み出す絶対的な漆黒は、 過去の罪などの《後悔》を実体として現出させてしまう。 言い換えるならば、 過去に入ったはずの《滅相》が復活するってことですね。 【滅相】[名] しかも、 自分自身が背負った罪への《後悔》のみならず、 先祖が背負った罪への《後悔》も実体化してしまうらしい。 ルーブル美術館から絵画を盗み出していたのは、 モリス・ルグランなる贋作画家の一味です。 彼らは、 ルーブルの「収蔵品移転プロジェクト」を悪用してる。 ルーブル美術館始まって以来の大プロジェクトが、静かに進んでいる。新しくできた超近代的な保存施設に、所蔵する25万点もの美術・工芸品を5年がかりで移そうという計画だ。 つまり、 ルーブルの地下倉庫にある未解明の収蔵品から、 価値のある絵画を見つけ出しては贋作をつくり、 それを新設される保管センターへ移転させ、 真作のほうは自作絵画の額縁の裏側に隠して、 海外オークションに出品して安く買い叩く手口。 もちろんモリス・ルグランの元ネタは、 アルセーヌ・ルパンの作者モーリス・ルブランですね。 しかし、 モリス・ルグランが、 自作の絵画「ノワール」の裏に隠したのは、 山村仁左右衛門の真作ではなく、 そこから剥ぎ取った顔料の一部だったようです。 盗んだ「ノワール」の裏側を見た買い付け師の男は、 実体化した車の幻影に轢かれて死んでしまいました。 きっと過去に轢き逃げ事件でも犯していたのでしょう。 ◇ 一方、露伴先生は、 ルーブル美術館で山村仁左右衛門の真作を見た結果、 山村仁左右衛門の亡霊に襲われてしまいます。 しかし、 後で分かったことだけど、 露伴先生は山村仁左右衛門の子孫じゃなく、 妻の奈々瀬さんの実家の末裔だったのよねw なぜ血縁関係のない露伴先生が、 山村仁左右衛門と顔がそっくりで、 山村仁左右衛門の《後悔》を背負っていて、 その絵師の《才能》までを受け継いだのか? そして、そもそも、 なぜ山村仁左右衛門の真作は祖母の家にあったのか? いつもながら、 そのへんのロジックは不可解です。 ◇ …それはそうと、 京香さまはあいかわらず無敵っ! 山村仁左右衛門の真作をガン見してたのに、 なんらの《後悔》にも襲われることはありませんでした。 つまり、 本人のみならず、 先祖代々、何も背負ってないってことwww ◇ ◇ 以下は感想です。 ぶっちゃけ、 映画として観るほどの内容とは言いがたいけど、 スペシャルドラマとしてなら十分に楽しめました。 もちろん、 ツッコミどころはいろいろあります。 上記のとおり、 露伴先生が血縁関係のない山村仁左右衛門の亡霊に襲われるとか、 死者であるはずの奈々瀬さんにヘブンズドアが出来てしまうとか。 やたらと蜘蛛が這いまわる必然性もよく分からない。 ◇ そして… これを言っちゃ身も蓋もないけど、 そもそも舞台がルーブルである必然性を感じないのよね。 江戸時代の女の幽霊がモナリザっぽいのも変だしw この内容なら、 むしろ国内の美術館を舞台にしたほうがよかったかも。 ルーブル美術館の事件が一段落した時点で、 物語としてはだいたい終わりなのかなと思いきや、 そこから日本に帰ったあとの種明かしが冗長だったりして、 映画としてのテンポの悪さも欠点だと思うし、 間をもたせるだけの演出の創意にも欠けてた感がある。 ◇ とはいえ、 若き日の露伴と奈々瀬の夏のエピソードには、 それこそ泉鏡花の怪異譚みたいな風情がありました。 ちなみに、 露伴先生はいつからヘアバンドを巻いてるのかしら?? …生まれつき? つぎは密漁海岸。 ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.05.09 10:04:11
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