カテゴリ:音楽・映画・アート
またまたNHK「フロンティア」を見ました。
テーマは《ヒトはなぜ歌うのか》です。 英国の認知症患者や、 アフリカのピグミーのバカ族を取材して、 音楽の起源や脳とのかかわりを探ってましたが… これが奇しくも、 アニメ「鬼滅の刃」柱稽古編や、 ドラマ「アンメット」にも重なる内容! 1.予測機能と反復動作 音楽のビートには次のような効用があるそうです。 音楽のビート(リズム)を聴くと、脳内でドーパミンなどの報酬物質が発生することがわかっています。報酬物質とは私たちが気持ち良さ、快楽を感じた時に分泌される脳内物質です。 これは、 ドラマ「アンメット」の《咀嚼》の効果に似てますよね。 咀嚼のように一定のリズムで同じ運動を繰り返すことで、幸せホルモンと言われるセロトニンの分泌量が増えて幸福度が上がります。 ![]() さらに、これは、 岩柱・悲鳴嶼行冥の《反復動作》にも似てる。 “反復動作”とは、全ての感覚を一気に開く技であり、これにより心拍と体温を上昇させていつでも一瞬で集中を極限まで高める事が可能となる。“反復動作”を発動する際のルーティン(定型)は行冥と玄弥の場合は念仏だが、方法は人により異なる。 これって、 いわゆる「変性意識状態」じゃないかしら? 変性意識状態となるのは、たとえば精神や肉体が極限まで追い込まれた場合、瞑想を行っている時、薬物を使用している時などがあるとされる。変性意識状態は「宇宙との一体感」「全知全能感」「強い至福感」などを伴うことがあり、この体験(変性意識体験)は時に人の世界観を一変させるほどの強烈なものも含まれる、といわれる。変性意識状態の代表としてトランス状態を挙げることができる。 アフリカやアマゾンで暮らす人々、あるいはネイティブアメリカンのシャーマン(呪術師)が祈ったり踊ったりしてトランス状態になるとき、誰かが必ず太鼓を叩いています。 盲僧みたいな悲鳴嶼行冥のキャラには、 浄土真宗の「衆生救済」「悪人正機」の思想を感じるのだけど、 彼のおこなってる《反復動作》は、 おそらく念仏行による変性意識状態を目指したものでしょう。 ![]() 2.内側前頭前野 NHKの番組では、 脳の「内側前頭前野」の話も出てきました。 ヒトの脳でとくに発達してる内側前頭前野は、 他人のことを考えるときに働く部分で、 社会生活に欠かせない機能をもつものの、 年齢とともに衰えやすく、とくに認知症で損傷するそうです。 しかし、認知症の患者は、 言葉を忘れても、音楽は忘れない。 むしろ音楽に触れることで、 その「内側前頭前野」を活性化させることができる。 一方、 ドラマ「アンメット」では次のように説明されてました。 脳には内側前頭前野という場所があって、自分と他人を区別する場所なんですけど、大切な人や恋人に関しては区別しなくなるという報告があります。つまり、その人のことを自分のように感じてしまうんです。 ![]() 自他の区別がなくなるというのは、 変性意識状態で「宇宙との一体感」「全知全能感」を得るのに似てる。 内側前頭前野が報酬系に関係してるかは分からないけど、 ドーパミンやセロトニンなどの効果で、 自他の区別が溶解するのかもしれません。 『集団の絆』というキーワードは、音楽の起源を考える上で外せないでしょう。音楽のビートにはたくさんの人を同時に動かす力があります。他人と一緒に体を動かすことは同じ体験の共有です。共に歌うのは『助け合えるよ』というサインだと言ってもいい。社会的動物であるヒトにとって報酬を感じる行動です。 ◇ さらに、 《認知症患者は言葉を忘れても歌は忘れない》 …という話は、 ドラマ「アンメット」でいうところの、 《記憶を失っても強い感情は心が覚えてる》 …という話に近い気もします。 つまり、 言語的な記憶や映像的な記憶を失っても、 報酬系が活性化した記憶は別の場所に残る、 …ってことかもしれません。 ◇ なお、 ピグミーのバカ族の歌は、 完全4度の和音をなすポリフォニーと、 即興的なポリリズムからなる高度な音楽です。 ただし、ピグミーは、 ネグロイドから分岐した別系統ともいわれるので、 彼らの文化が人類の文化的起源といえるかどうかは、 ちょっと分からないと思います。 とはいえ、 インドネシアのガムランなども、 ポリフォニーとポリリズムを駆使した音楽ですよね。 アフリカにもアジアにも、定義上ピグミーにあたる低身長の人々は居住しており、前者はネグリロ、後者はネグリトと呼ばれている。
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最終更新日
2024.06.27 20:06:44
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