|
カテゴリ:日々の暮らし
切子、大好きなんですよ、わたし。
いわどんさんのおかげで、スイッチはいっちゃったようです。 江戸切子はいわどんさんのおっしゃる通り、江戸時代から今に伝わる 伝統工芸ですが、その江戸は江戸時代ではなく、町の江戸です。 では、江戸切子ではない切子はと言えば、ご存知の薩摩切子ですね。 江戸切子は透明な鉛ガラスにやすりや金剛砂を使って カットを入れ、木の棒などで磨いたのが始まりだそうです。 ですから、江戸切子は、切子(カットのV字)が直線的で鋭角です。 もちろん長崎から入ってきた西欧のカットグラスの技法が 基になったものだとは思いますが、江戸時代、草創期の 江戸切子はもっと素朴なものだったのじゃないかと思います。 一方薩摩切子は、薩摩藩主の命により、西洋の書物を研究したり、 江戸から切子職人を招へいしたりして開発された技法です。 色ガラスと透きガラスを重ねて吹いた色被せ(いろきせ)ガラスに ホイール(輪型のやすり)で深いカットをしました。 厚い色ガラスに細かく複雑な切子をした薩摩切子は、 切子(カット)が江戸切子より緩やかで深いので、 切子面にぼかしと呼ばれるグラデーションが生まれ、 これが薩摩切子の一番の特徴になっています。 ところが、藩主の交代や、幕末の戦乱で、薩摩藩の様々な工場が 集まる集成館が砲撃され、薩摩切子の工房も破壊されたため 働き場を失った薩摩切子の職人が江戸に流入したことで 薩摩の色被せガラスの技法が江戸に伝わり、江戸切子にも 色ガラスを使った作品が作られるようになったようです。 また、文様も、江戸切子は菊の花や麻の葉、矢来などのように あっさりした着物の柄が伝統的に多用されたのに対し、 薩摩切子では、カゴメや魚々子(ななこ=細かい格子)あるいは カゴメの中に魚々子という細かい切子が施されています。 こういうデザインも、職人の流入と共に江戸切子に影響を与え また、道具の進歩もあって、江戸切子は、 いわどんさんのおっしゃる「華麗、精緻」なものに なっていったのでしょう。 人気があることもあって、今は色ガラスを用いた製品が 江戸切子でも中心だそうですが、わたしは透きガラスに シャープな切子が施された涼しげな江戸切子は やはり捨てがたいと思います。 わたしが数年前に工房を見学させていただいた 切子職人さんは、下書きもせず、大まかな位置取りだけ ガラス面にしるしをつけて、フリーハンドで グラインダーをかけ、切子を仕上げていました。 ところで、明治とともにいったん消えてしまった薩摩切子は 大切に保存されていた製品や文献をもとに 鹿児島県だけでなく各地のガラス職人や研究家の協力で 1985年以降、復刻が試みられ、今では2つの会社が 製造を行っているそうです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[日々の暮らし] カテゴリの最新記事
|