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カテゴリ:読書
そう、忙しい(現在形)のですよね、わたし。
家の中は目も当てられない状態だし、ご飯はほとんど出来合いだし、コメントだって書きかけては終わらずにページを閉じるので消滅させちゃって。 それなのに、日曜日の午後、買い物ついでにふらっと本屋さんに入り目についた本を4冊も買ってしまいました。ストレス解消、ストレスカイショウとお念仏を唱えながら。 その中で一番気になった本に、その日から食いつき、即日読了。月曜日はおかげで寝不足でした。 何が気になったかというと、サブタイトルが東京バンドワゴン零となっているのです。ということは東亰バンドワゴンシリーズの、それも第一作より前の時代が舞台っていう意味よね?と思ったらもう矢も盾もたまらず、これは是非読まねば!でした。大好きなのです、東京バンドワゴンシリーズ。 その上、表紙の絵が、黒い羽織の若侍と桃割れの少女で、つまり、この作品ったら時代小説ということ? 小路幸也さん、時代小説を書かれたことはなかったはずなので、これはもう是非是非、是非とも読まねばとなりました。 さらにさらに、若侍の黒羽織は巻き羽織のように見えます。 巻き羽織というのは、江戸時代の同心(現代の警察官みたいな人のことです)の粋な(だったらしい)ファッションで、ということはこれって捕物帖? ミステリ狂のわたしはますます惹きつけられました。 というわけで、第一番に読み始めました。 面白かったです。一気に読み終わりましたよ。 小路幸也さん、初時代小説のはずだけれど、なかなか手慣れた書き振りで、ストレスなく読み進められました。 作品のご紹介もしたいと思いますが、ミステリなのでネタバレにならないように細心の注意をしないとですね。はい、気をつけます。 表紙の2人はこの作品の中心人物で、同心の堀田州次郎と、三河島の植木屋「神楽屋」で育てられているおるうです。 この二人はどちらも平たく言ってしまうと超能力者です。 この作品の中ではその力は「隠れ」と呼ばれています。 隠れの子っていうタイトルはおるうちゃんのことであり、もう大人になってはいますが州次郎のことでもあるのだと思います。 州次郎の隠れは匂いを嗅ぐ力です。匂いからあらゆることが、目の前で見えているかのように、手に取るように、わかる力を持っています。 おるうの力は、人の持つ隠れの力を消す、ないものにしてしまう力です。 物語はおるうが神楽屋の主鉄斎に頼まれて大店の幼い跡取り息子慶太郎の「隠れ遊び」と思われる怪異を解決するために煙草屋にやってきたところから始まります。 隠れ遊びとは、まだ幼い子どもが、自分の隠れの力を無自覚に発現させてしまうことです。 おるうはその怪異を隠れ遊びかどうか見極め、もしそれが慶太郎の隠れ遊びだったら、慶太郎の隠れの力を消してしまうためにやってきたのです。 ある晩、店の庭に潜む怪しい気配を感じ取り、1人で手に負えないことがあったら頼るようにと鉄斎から言われていた秣(まぐさ)屋佐吉にすべてを明かして助けを求めます。 佐吉もやはり隠れですが、「ひとり隠れ」といわれる、仲間を作らず市中に独りで暮らす非常に強い力を持った隠れでした。 隠れのことなら何もかも分かっていて、隠れの人たちが穏やかに幸せに暮らせるように力を尽くしている鉄斎さえ、二度会っているのにそれだけではその力がどんなものかが掴めず、実は隠れであることさえ確実に知れたことではなかったのです。 佐吉の能力は見立ての力、自分の身に起きることが予測でき、自分がたどるべき最良の道がわかるというもので、その彼が闇に潜んでいた者を抑えるために、煙草屋にいるおるうの許によこしたのが、同心の州次郎でした。 おるうには佐吉が非常に強い力を持つ隠れであることが会うとすぐにわかりました。 そして、この州次郎にも隠れの力があることを感じ取りました。 佐吉に確かめると、州次郎もやはり隠れではあるが、本人は隠れであることを自覚しておらず、さらに州次郎は「ひなたの隠れ」だというのです。 州次郎は、急死した養父の跡を継いで最近同心になったのですが、病死といわれている養父の死因に疑いを持っています。 それを調べる中で佐吉とも知り合うのですが、佐吉は話を聞いて、その死に「闇隠れ」がかかわっていると推量します。 自分の持つ力をコントロール出来ずに力の持つ暗い側面に引き摺られ闇の世界に落ちてしまう隠れがいる、そうした者たちが集まって何かをしていると佐吉はいうのです。 この事件をきっかけに、州次郎とおるうは、佐吉や、牢屋同心であり州次郎の養父の友人だった日下と共に、神楽屋の鉄斎や、神楽屋で働く隠れの者たちの力を借りて、州次郎の養父の死と養父が調べていたらしい「ざりば講」の謎を調べ、その謎をめぐる事件を解決していきます。 物語が始まると早々から、隠れにまつわる多くの事柄が泡のように次々と浮かび上がってきて頭が混乱しそうになりますが、小路幸也さん、さすがの筆力です。 登場人物にも魅力があって、なんだかんだ首をかしげながら先へ先へと読み進んでしまう。。。すごいです。 でも、このブログを読んでくださっている方はいい迷惑ですよね。なんだか全然意味分からない!って思っておいででしょうから。 だけど、これを逐一説明していくとネタバレになっちゃうのですから、どうにもなりません。 それはそうと、わたし、読み始めた最初は東京バンドワゴン事始めみたいなことが頭にあったもので、どこが?どこが??って思いながら読んでいたので、植木屋さんの神楽屋さんとその主で隠れの守護者鉄斎さんが東亰バンドワゴンのご先祖様かと思っていました。 所在地も、東亰バンドワゴンははっきりとは書かれていませんが、谷中、根津あたり、神楽屋は三河島で、近いといえばいえる場所ですし、バンドワゴンと神楽、ちょっと通じるところもある感じでしょ?
だけど読んでいるうちにハッと気づきました。東京バンドワゴンシリーズファンで、勘の良い方はもうお判りですよね? そう、堀田州次郎です。古書店である東亰バンドワゴンを営んでいるのは堀田家。 同心の堀田家の養子州次郎が東亰バンドワゴンの堀田家のご先祖様だったのです。 (あの超イケメンの青ちゃんには、この州次郎さんの血が数世代を飛び越えて受け継がれたようです。) 家族の物語である東京バンドワゴンシリーズにふさわしく、この作品にも、親子、母、血といったテーマが底流として存在している感じですが、それを書き始めるとまたネタバレになるので止めておきます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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