アントワープ大聖堂~市庁舎、街歩き
12月も1週間が過ぎ、徐々に年末モードになってきました。ここのところ毎日、寒暖の差が激しいので、これだけで体調が悪いという方も少なくないと思います。皆様、ここにきてダウンするようなことがないようにご自愛ください。さてさて、今日のエントリーはアントワープにある「ノートルダム大聖堂」の内部の様子、大聖堂の近くにある市庁舎、アントワープの街歩きで撮影した画像などを紹介します。今日は食べ物画像が1枚もありませんので、ご了承願います。↑コチラはノートルダム大聖堂の中にあるステンドグラスの一つを撮影したものです。何か宗教行事の様子、または新約聖書にある「福音書」で記述されている場面か何かの描写だと思いますが、ステンドグラス下部に書いてある文章(オランダ語?)が分からないため、どの場面を表現しているのか見当がつきません。ただ、色使いや絵の配置が上手で綺麗だったという感想しかありません。↑この画像も大聖堂内部にあるステンドグラスの一部ですが、コチラは3面が対になっていて、それぞれに人物らしきものが描かれています。ステンドグラスは光の差し込み具合が違うため、1日のうちのどの時間に見るかによって見え方が全然違っています。私たちが入場した午前10時過ぎは、11月下旬だと漸く明るくなってくる時間なので、見え方も輪郭がぼんやりとしたソフトな感じでした。ノートルダム大聖堂に展示されているルーベンスの宗教画の一つ「キリスト降架」(Triptiek met de Kruisafneming, 1612年)の三連祭壇画です。デジカメ画像では、今にも飛び出てきそうな躍動感が溢れる絵の様子は伝わりません。「フランダースの犬」のラストシーンで、少年ネロがこの絵の前で力尽きて天に召されることは、リアルにアニメをご覧になった世代ばかりか、それよりもずっと若い世代の人までによく知られていると思います。「パトラッシュ、おまえ、僕を探しに来てくれたんだね。」 ---中略---「パトラッシュ、僕は見たんだよ。一番見たかった、ルーベンスの2枚の絵。だから僕は今、すごく幸せなんだよ」「パトラッシュ、疲れたろ・・・僕も疲れたんだ・・・何だかとっても眠いんだ・・・。」※上記台詞は不正確です。何度思い出しても悲しい結末のこの物語、日本では名作アニメと捉えられていますが、欧米ではハッピーエンドで明るく終わらないと受入れされにくいようです。当初、このお話はフラマン語(ベルギーで話されているオランダ語)に翻訳されておらず、当のベルギー国内では知らない人がほとんどだったそうです。それが、日本人が大挙してこの地を訪れるきっかけの一つが「フランダースの犬」の物語・アニメだと知ったことで逆輸入されることになったとか・・・。アニメでは、天使が出てきて天に連れて行く様子が描かれていますが、そのシーンは、上画像のルーベンス作「聖母被昇天」(De hemelvaart van Maria, 1626年)の絵からヒントを貰ったのではないかと思います。同じルーベンスが描いたとは思えないくらい、コチラのマリア様の絵は優しさが満ち溢れているように感じました。朝イチの空いている時間に大聖堂を約1時間ほどで見学し終えましたので、アントワープ市の西側を流れているシュヘルド川に向かって歩いていくことにしました。画像がちょっと右上がりになってしまいましたが、コチラは市庁舎(Stadhuis)です。1565年に完成したルネッサンス様式の建物で、それ以上のものはありませんが、グローテマルクトと呼ばれているこの広場で有名なのは、次の画像で紹介する噴水になっている銅像です。↑コチラの銅像は、『アントワープ』という地名の由来となった言い伝えを表している街のシンボル的な意味合いの「英雄シルヴィウス・ブラボーの像」です。その昔・・・シルヴィウス・ブラボーという古代ローマ兵士が、この近くを流れているシュヘルド川に住み着いて行き交う船などに高額の通行料を要求して悪事を働いていた巨人アンティゴーンの手を切り取って投げたという伝説があるそうです。銅像をよく見ていただくと、切り取った大きな手をこれから振りかぶって投げる瞬間になっています。この故事から、アント(手)をウェルペン(投げた)をつなげて「アントワープ」という地名が定着したとのことです。街をフラフラと歩いていると、建物の下がくり貫かれたトンネルを見つけました。一般の家屋なので何のためにこういうものを作ったのかはわかりませんが、これも貿易で栄えた港町の富の象徴なのかも知れません。ちょっと中を覗いてみましたが、細かい煉瓦が幾重にも積まれていて、建物の重さをしっかりと支えていました。なんとか乗用車も通行できそうな高さでしたが、トンネル道路の真ん中に車止めが作られているので、徒歩の人と自転車かオートバイしか通行できなくなっています。今日最後に紹介する画像は、アントワープ市の主要道路をくまなく結んでいるトラムの車輌です。行き先表示には、10系統の"Merkmarkt"行きとなっています。Merkmarktはちょうど大聖堂の裏手に当たるエリアです。メルクマルクトとは「ミルクマーケット」のことです。話が戻りますが、フランダースの犬の物語の中で少年ネロとジェハンお爺さんはミルク売りで生計を立てていたとなっています。アントワープ郊外のホーボーケン村から毎日ミルク缶に入った牛乳を荷車に乗せてこの辺りまで売りに来ていたという設定だったと思います。なんだか今日のエントリーは「フランダースの犬」のレビューみたいで、しんみりとした内容になってしまいました。明日のエントリーでは、アントワープで食べたランチとブリュッセルに戻って食べた晩ご飯の「ダブルヘッダー」を予定しています。今日のエントリーは以上です。