素面では見れない映画。
とにかく主人公ベン(ニコラス・ケイジ)は、アルコール依存症で、運転中だろうがシャワー中だろうが、飲んで飲んで飲み続ける。
見る方も手許には飲み物、必須。
家族も仕事も失って、「飲むために死ぬ」と言い放つベン。
一目で恋に落ちた娼婦サラ(エリザベス・シュー)に、「絶対に酒をやめろと言わないでくれ」という条件をつけて一緒に暮らしだす。
サラにはヤクザ(ジュリアン・サンズ)というかヒモというか元締めというか・・・がいたのだが、
コイツが変態異常者
ベンもサラもこんな人生になるには、どんだけすさまじい過去があったのかと思うけど、
そこんとこは一切触れてないし、お互い聞きもしない。
そういうのは知らず語らなくても、お互いにのギリギリのプライドを認め合ってる
・・・・でも、やっぱり限界もあるよね。
ベンは身体的にも辛い状況になるけど、それでも酒をやめない。
愛する人が依存症になっているのを容認するのは、すこしづつ自殺するのを静観しているのと同じ。
辛く耐えがたいことなのだ。
「お願いだから病院にいって!」とか
「今日は仕事なの」と言うサラの悪気ない言葉。。
こういう積み重ねでベンもいたたまれず、とんでもない行動に出てしまう。
結果、サラも・・・
このあたりは本当にせつない。
リービング・ラスベガス。
サラもベンも、天使の街ロスアンジェルスを離れラスベガスに来たのに
二人の愛情が深まる毎に、二人の居場所は市井から締め出されていってしまう。
エリザベス・シューが純粋な乙女だったり、老成した大人の女性に見えたり、感動的。
ニコラス・ケイジもどんづまりのなかの尊厳があって、水中キスシーンやラストシーンは胸を打つ。
スティングの歌もすごくいい。
たまたま芸能人夫妻の薬物汚染が相次いでいるけど、
こういう相手の弱さを受け入れて支えていくのは、すさまじく消耗することだと思う。
破滅型とか耽美系だけではくくりきれない、深くて強い恋愛映画でした