カテゴリ:親父という人。
昭和43年の9月初旬。
私が八歳のみぎり。 夕暮れ。 当時、高校二年の男子の友達と話をしていると・・・・父が仕事から帰ってきた。 途中、近所に住んでいた初老の男性、クリスチャンAさんに父は呼び止められて・・・・・ クリスチャンAさん:『一緒に「聖書」を読んでもらわれへやろか?』 親父:『俺はキリスト教やない。と言うてまっしゃろ。』 クリスチャンAさん: 『教会のあり方について疑問を感じて距離を置かれる気持ちも、よくわかります。恥を忍んで言いますねんけど、私が所属する教会も、「同じ」と、までは言いたくないんやけど、似たような事になってましてなぁ。あんたの力を貸しては貰われへやろうか?と思いました次第なんやけどな。』 親父:『あんたの教会が、おかしなことに巻き込まれてますんかいな?』 クリスチャンAさん:『似たようなもんです。』 親父:『俺が一緒に聖書を読むだけで解決できる話ではないと思うでぇ。』 クリスチャンAさん:『いや。いや。そないに大層なことやないねん。一緒に聖書を読んで疑問に思うことを言うてくれるだけで宜しいねん。』 親父:『ほんまに、それだけで宜しいおまんのか?』 クリスチャンAさん:『はい。私の訓練でおますので。』 親父:『何の訓練ですのや?』 クリスチャンAさん:『それは、ちょっと此処では言われませんので、家に来てもらえたら嬉しいのですけど・・・』 親父:『ほな家に帰って飯をかき込んだら、直ぐに、さんたの家へ行かせてもらいまっさかい。』 クリスチャンAさん:『宜しくお願いします。』と言って我が家へ帰り、 親父も晩飯をかき込んで初老の男性の家へ行った。 その日、私が見たのはこれだけでした。 ********** それから約一週間。 親父は会社から家に帰る途中、近所に住んでいた初老の男性宅に立ち寄り聖書を読む日々が続きました。 その後は親父は小さな分厚い本を借りてきて読みふけっていました。 分厚い本には新聞紙で作ったブックカバーがしてあり、 『誰も触るな。』と親父は厳しく言いました。 ただ母だけが露骨にいやな顔をしておりました。 母:『アーメンの本なんか家に入れてからに!嫌らしー!』と言っておりました。 母はキリスト教関連には何故か敏感でした。 そちらの方面に関しては信じられないくらい感働きが良いのです。 統一協会(=現・世界平和統一家庭連合)が反対牧師を嫌うように母は親父を大変嫌っておりました。 父が大嫌いなのに母は何で家から出て行かんかったのか❓ 。。。不思議でした。。。 親父が小さな分厚い本を読み始めると母がネチネチと文句を言いはじめ、 親父は、『お前には関係のないことやさかい。黙っといてくれるか?』と言ったが、、、 母は、ここぞとばかりに親父にネチネチと文句を言い続けた。 私は《夫婦喧嘩が始まるのか?》と思ったのですが・・・・ 親父は、『余所へ行って読んでくるわ。』と言って立ち上がった。 母:『何処へ行くねんな?』 親父:『言わんかて、お前には分かるんと違うんか?』と皮肉っぽく言った。 母:『アーメンの家かいな?!』 親父:『よう分かっとーやないか。用事があったら呼びに来たってくれや。』と言って出かけた。 それから親父は、毎晩、夜中に帰ってくるようになり、 日曜日には日頃の疲れをとるかのように家で寝ておりました。 ********** 九月の終わり頃だったと思います。 会社の社員Aさんから親父に商談の件で急ぎの連絡がありました。 商談の一切を取り仕切り、責任も全て親父の担当でしたので。 現場で知り合った友人と共同経営の会社を立ち上げて、 友人が社長で親父が副社長でしたから。 で、私は近所に住んでいた初老の男性宅を訪ねました。 するといきなり、 『《足したらいかん。引いてもいかん》という約束事は何処へ行ったんや❗❓』と親父の大きな声がした。 クリスチャンAさん:『私の聖書の約束事を破るような事はしていませんよ。私はクリスチャンなんやさかい。【補足】しただけです!』 親父:『その【補足】っちゅものが付け足しでっしゃろが!違いまっか?!』 クリスチャンAさん:『わかりやすいように【補足】を付けんとあかんこともあるやろ?』 親父:『聖書の話の中の範囲内で説明せんとあかんのんと違いますんか? そのために聖書の、あちこちに警告文が書いてあるのんと違いますのんか?』 クリスチャンAさん:『何の警告文ですかいな?!あんたより私の方が長いこと聖書を読み続けていますねんで!』 親父:『あんたの目は節穴ですかいな?』 クリスチャンAさん:『それは聞き捨てならん言葉やで! 私の目の何処が節穴か説明してもらいましょか!』 親父: 『聖書の中にな、ぎょうさん(たくさん)《姦淫した》や《姦淫してはならん》《姦淫したことによる罪》というのが、読んでいたら、ぎょうさん(たくさん)出てきまっしゃろ? あれは男と女が「H」した話と違いますねんやろ❓ 聖書の話が変な方向へ逸れていかんように警告してるのんと違いますのんか?』 クリスチャンAさん:『あんた、ほんまに聖書を読んだんは初めてなんか?初めて読んだのやったら奇跡やで。』 親父:『俺かて協力するからには気になった箇所をチェックして書き出しながら読んで、書いた人は何を言わんとしているのかを俺なりに考えて答えを出しましたんや。』 クリスチャンAさん:『う゛―゛ん゛。私もまだまだやなぁ。』と考え込んでいました。 親父が私に気づき、『電話がかかってきたんか?』 私:『うん。「商談の件で急ぎの連絡やねんけど。」と、○○のオッチャンから電話がかかってきた。』 親父:『クリスチャンAはん、明日の晩に来れたら、ええのやけど、多分、明後日の晩になるやろう。と思いますのやけど・・・また連絡しますわ。奥さんも、夜分、遅くまですんまへんでしたなぁ。』 と言って親父はクリスチャンAさん宅を後にして、 自宅に帰って直ぐ社員Aさんに電話をかけて事情を聴いておりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2023.06.17 09:38:46
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