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医療も専門にどんどん分かれており、栄養指導も専門的な知識を要求されている。
今後の管理栄養士としては、単に栄養の知識だけではなく、診療科や病気別の専門指導
が必要で、疾病の知識も要求される。
より高度な専門性を追求していって貰いたいものである。
岡山市の大西定雄さん(68)は7、8年前から腎臓が悪くなり、老廃物を人工的に取り除く透析を始めて4年になる。
腹膜透析という方法で、おなかの外からチューブで腹腔(ふくくう)内に約2リットルの透析液を注入し、腹膜による自然の濾過(ろか)作用を利用して、毎日4回、自分で透析液を交換する。
血液を機械で濾過する血液透析のように週3回、通院する必要はないのが長所だ。
かかりつけの川崎医大病院(岡山県倉敷市)には月1回、血液検査のため受診する。主治医の診察後は、腎臓病を専門に担当する管理栄養士、市川和子さんの栄養チェックを受ける。
腎臓病では、カリウムの数値は重要なポイントだ。腎機能が低下すると、カリウムが体内にたまりやすくなり、血中濃度が高くなる「高カリウム血症」は不整脈などを招き、命にもかかわる。このため、カリウムを多く含む野菜や果物の制限が指導される。
人工透析でも、高カリウム血症には注意が必要だが、腹膜透析ではむしろ不足がちになることが多い。ところが、大西さんは、腹膜透析後も逆にカリウムがたまりやすい体質ということが検査からわかった。
そこで市川さんは、野菜類は湯こぼししたり、煮野菜にしたりといったカリウム分を減らす調理法を指導してきた。今、妻の好江さん(66)にはお手のものだ。
市川さんは、「腹膜での濾過には個人差があるため、一人ひとりに応じた栄養管理が大切になります」と言う。
患者には、高血圧や糖尿病などをもっている人も多く、飲んでいる薬には、カリウム濃度を上げるものもある。「新しい治療や薬の知識、勉強が欠かせない」と市川さん。元の病気が何か、どんな薬を飲んでいるかなど、治療情報について主治医との連携が重要だ。
約1200床の同大病院は、診療科が30を数える。このため栄養食事指導にあたる20人の管理栄養士も、消化器外科や循環器、腎臓、肝臓、リハビリ、小児科といった、特定の診療科や病気を専門に担当するケースも多い。外科では手術後の栄養管理、小児科では食物アレルギーといった、それぞれの分野に特徴的な知識が必要とされる。
同大病院栄養部長の河原和枝さんは、「専門的に細分化された医療に対応するには、臨床栄養に携わる管理栄養士もある程度、専門化していく必要がある」と話している。(田村良彦)
栄養食事指導の保険対象となる主な病院食 腎臓食、肝臓食、糖尿食、胃潰瘍(かいよう)食、貧血食、膵臓(すいぞう)食、高脂血症食、痛風食、小児食物アレルギー食など。
[出典:読売新聞]