6月議会最終日「焼却炉のオーバーホールの工事請負の随意契約」で談合業者発注に対し反対討論。
反対討論の主な内容30番、日本共産党市議団の原田誠之です。 議案第100号工事請負契約の締結について討論を行います。本議案は、清掃センター焼却炉主要設備オーバーホールその他工事の随意契約を行うもので、契約の相手方は、日立造船株式会社東京本社営業本部となっています。 本工事の改修及び延命化工事として、プラントメーカーの日立造船と随意契約をし、議会に提案する直前に、大阪・阪南市発注のし尿・汚泥処理施設建設工事の入札で、大手プラントメーカーが談合し、公正取引委員会・及び地検が調査、日立造船など11社が刑事告発され、独禁法違反で逮捕され、指名停止措置は免れないと理事者からの説明であります。 これによる指名停止処分は、国が8ヶ月、長野県は20ヶ月、長野市は11ヶ月としています。 本来であれば、入札参加者指名停止等措置基準からして、随意契約の相手方としない事としているが、「プラントメーカー固有の技術による改修工事と延命化工事」であり、「稼働から24年の経過で老朽化と著しい熱損傷、ダイオキシンなど公害防止等性能保障」に関わるもので、メーカーの専門知識と特殊技術を要し、また、「短期の工事期間」が求められているので、「指名停止措置基準」の「ただし書き」を適用し契約したいと理由を示し、やむを得ない苦渋の選択だと説明しています。 福祉環境委員会の協議会や委員会審議でも、私どもは、理事者が示した随意契約の根拠や理由を無視するわけではありません。危険を取り除く工事は当然のことであります。 指摘したいのは、理事者も苦渋の選択と言っているように、「談合」という法律を犯し、社会的道義を著しく踏み外した行為を見過ごすわけにはいきません。 平成17年6月議会、つまり1年前、昨年です。我が党の野々村議員は、「行政として指名停止業者に発注する事は、極めて不適当で、今後については、随意契約ではなく競争入札に切り替える事も視野に検討」をと意見と提案をしています。 にもかかわらず、指名しようとしている業者は、過去に置いても数え切れないほどの談合事件を繰り返し、昨年は、橋梁談合で社会から厳しい糾弾を浴びました。 業者は、自ら襟を正すことは当然でありますが、社会的に談合行為の出来ない仕組みが必要であります。 それには、委員会でも協議会でも意見を述べてきましたし、昨年の野々村議員の討論でも述べているように、「焼却施設を巡っては、この間、談合が繰り返され、そのたびに大きな社会問題となってきました。今回の鉄鋼橋りょう談合を見ても、日本の公共事業の異常性が現れており、談合天国日本の姿を改めてあ然とする思いで見ました。なぜ日本では、談合が繰り返されているのか、この背景には諸外国に比べてけた違いに甘い、談合に甘い制度と政財界のゆ着があります。現在の独禁法では、談合が明らかになった場合、国に課徴金を納めさせる仕組みですが、課徴金の額は違反対象となった発注額のわずか六%です。大手ゼネコン幹部は、運悪く見つかっても、課徴金を払っても談合をした方が得というほどです。この談合の犠牲者は、ばく大な税金を食い物にされている国民、市民です。 一方、同じようなケースでEUの場合は、制裁金は違反対象にとどまらず、会社全体の売上げを対象とした十%を上限に算出、アメリカでは、違反対象の売上げの十五から八十%の罰金が掛かります。日本共産党の塩川鉄也衆議院議員の調べでは、課徴金など一番多く払った金額を比較してみると、EUやアメリカでは五百億円台に対し、日本はわずか十六億円となっています。これでは談合の抑止力にはなりません。 公正取引委員会は、現行の課徴金を引き上げる独禁法改正の準備をしてきましたが、これに真っ向から反対したのが日本経団連でした。ばく大な税金を投入する公共事業でプラントメーカーや大手ゼネコンなどが、繰り返し談合を行い、ばく大な国民の税金を食い物にしている現状を考えたとき、一つ一つの問題に全国の自治体が厳しく対応していくことが求められるのは当然です。メーカー言いなりの見積り、設計となる性能発注方式をやめさせていくためにも、国や県に対して特殊工事にも対応できる専門集団による第三者機関を設置し、正常な競争原理が働く入札制度になるよう、強く要請し提案しています。 今回理事者も、行政としては指名停止業者に発注することは、極めて不適当と認めていることを考えれば、今後については、随意契約ではなく競争入札に切り替えていくことも視野に検討していくべきと考えます。 長野市としても、専門職員の採用や研修を一層強化することを要望してきました。 昨年とは違い、1度ならず2度までも、同じ轍を踏むなど、本議案にとても同意できるものではありません。随意契約の見直しと過料を含めた厳しい誓約書など取り交わし、談合を許さない仕組みを国に要望すると共に、市自ら作成することを、強く求めて討論を終わります。