私は30歳の時に京都から能登に帰ってきて着物の染め仕事を行い、5年ほど経ってから家の周囲を見渡す余裕が出来て草木染めのデータを採り始めた。それから35年、草木染め教室を始めてからも色々な染めの実験を行ってきたが、中でも魅力的に思えた幾つかの染色方法があった。
その一つが手縫いの絞りで、新しい技法を見つけるのは沼にはまり込んでしまう時もあった。草木染めの絞りは美しくならないと言われたし、解決方法が見つからなくて底なし沼に沈むような気分だった(^^;
その頃の実験、絞りの縫い目の長さの比較
左が5ミリ程度の長さの縫い目
右が10ミリ程度の長さの縫い目
この絞りのジグザグの染上りラインの変化が面白かった。手描きでは表現できない線だし無理に描くと不自然になる。縫い目の長さを変えることによって表情が変わっていった。
5ミリ以下に縫うと手間も多く薄い絹生地が切れたり色が入りにくくなったりというトラブルも起きた。だが、美しい作業ができるとジグザグ目が小さく揃い、遠目ではロウケツなどの堰だし色塗りの仕事に見えた。
左の美しい仕事が染め上がった時には、私自身が小躍りしたことを覚えている♪スタッフが縫った仕事だったが自分が縫ったように喜んだのだ(笑)
この表現の違いを使いこなせたら面白い。私は自分が針仕事が出来ないのに、工房のスタッフや教室の生徒さんには縫って確かめてください、とズ~~ッと言い続けた(^^)
そして今もこの不規則なジグザグラインの変化の可能性を、もう少し異なる表現ができないかとフォトショップで図案を描いて、また実験しようとしている私がいるのだった・・・まだ沼の中だが(^^;
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