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クマに襲われけがを負った亀正治さんを搬送する救急隊員ら=15日夕、金沢市奥新保町で
写真 失明し全身に傷 恐怖語る 金沢市奥新保町の医王山で十五日、クマに襲われて大けがした石川県猟友会金沢支部員の亀正治さん(74)=同市=が二十五日、本紙の取材に応じ「やぶから突然姿を現したクマに頭と手足をかみつかれた」と証言した。(草野大貴) 額から左頬にかけて傷口に沿って縫った痕が残る。左目は失明。右のふくらはぎと両手首には包帯が何重にも巻かれている。右足は今後、皮膚の移植手術が必要だ。体の至るところに爪で引っかかれた傷がある。 あの日、亀さんは金沢市から委託されたクマの個体調整のため、支部員約三十人とともに医王山に登った。狩猟歴四十年以上のベテラン。過去に襲われた経験は無かった。 クマを最初に発見したのはほかの会員だった。発砲したが弾は当たらず、クマは斜面の下の方へ。少し離れた位置で構えていた亀さんが、発砲した。「腹のあたりに当たった」。クマが逃げた方向に血が点々と残る。 写真 「仕留めた」と思い込んで、血痕に向かって歩いて行くと、目線より一メートルほど上のやぶからクマが飛び出してきた。もみ合いになり、抵抗するも、相手はものすごい力。頭と脚をかまれた。口に手を突っ込み何とか引き離しながら、一緒に斜面を転げ落ちた。気づくと左目が見えない。全身は血だらけに。その後、仲間たちが助けに来てくれた。 亀さんは「クマには一人で近づかず、覆いかぶさられてしまう位置に立ってはいけない。その鉄則を破ってしまった」と悔やむ。 別の支部員が一週間後の二十二日、亀さんを襲ったとみられるクマを射殺。それでも現場周辺にはまだクマが生息している。 山菜採りのために山へ入る人が増えるシーズンを迎えた。「クマとの遭遇は、身近に感じづらいかもしれないが、十分あり得る。本当に危ない」。亀さんは声を震わせた。 出没シーズン 山菜採りご注意 クマは暖かくなり、冬眠から覚めると親離れをしたり、繁殖相手を探したりするなど行動範囲を広げ、人里に出没する可能性が増す。山菜採りや登山シーズンを前に、石川、富山両県は対策に本腰を入れ始めた。 石川県自然環境課によると今年のクマの目撃は十五日を含めて二件。小松市岩渕町の高齢者福祉施設周辺でもあった。担当者は「山中では複数で動き、音の鳴る道具を身につけて」と呼び掛ける。五月上旬には警戒心が特に強い子連れのクマが現れるという。 また県は対処法を掲載したリーフレットを五千五百部作った。クマ出没の緊急連絡先として一一〇番を新たに明記。県のホームページに出没情報を載せる。 富山県でも今月二十日に高岡市で山菜採りで山に入った男性がクマに襲われた。これを受け、県は「ツキノワグマ出没警報」を発令。二十五日には緊急の対策会議を富山市内で開いた。会議では高岡市の担当者が事故当日の対応を説明。二十六日まで職員二人が朝と晩に現場周辺をパトロールすることを報告した。山に入る際には県のホームページからクマの出没情報を地図上に示した「クマっぷ」を確認するよう求めた。 県によると、二〇〇四年以降、県内でのツキノワグマによる人身被害は計六十二件(うち二人が死亡)。県民福祉公園自然博物園のねいの里の間宮寿頼係長は「五月の連休前後は人がクマの生息域に入る前提で行動を」と要請。クマが人を襲う際は、顔や頭を狙ってくる傾向があるといい、入山者にはラジオや鈴に加えて「ヘルメットと撃退スプレー、ナタを持って万全な準備を」と呼び掛けた。 (草野大貴、木許はるみ、並木智子) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年04月26日 14時30分18秒
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