生命の創造とは――『フランケンシュタイン』(その2)
【25%OFF】[DVD] フランケンシュタイン Hi-Bit-Edition『フランケンシュタイン』(1994年)時は18世紀。物語は、嵐の中を突き進む帆船から始まります。船長ウォルトンは、なんとしても北極点にたどり着こうと、航海を強行していました。そんなとき、橇に乗ったひとりの男を助けます。彼の名は、ヴィクター・フランケンシュタイン(ケネス・ブラナー)。彼は目的を遂げようと無謀な航海を続けるウォルトンの姿を見て、以前の自分に似ていると、自らの数奇な運命を語り始めました。もともとヴィクターは、裕福な家で何不自由ない生活を送っていました。あるとき、母親が弟を出産する際、体調を崩し、亡くなります。ヴィクターは悲しみのあまり、死を憎むようになるわけです。義理の妹エリザベス(ヘレナ・ボナム・カーター)と結婚を誓った後、彼は大学で生命を生み出す研究を始めます。で、ついに死体をつなぎ合わせ、人造人間創造に至りました。しかしその直後、ヴィクターはその蘇生させた人間の姿のおぞましさから、自分の犯したことの重大さに気付き、彼を捨てます。その後、その人間は、流行り病によって死んだと思いこんでいたのでした。一方、人造人間(ロバート・デ・ニーロ)は村を徘徊するものの、その風貌によって誰からも恐れられ、糾弾され続けます。何しろ、顔といわず頭といわず蘇生手術の傷跡だらけのうえに、あのパワーですから。誰だって怖がりますよね。そして人造人間は、自分を作り出したヴィクターに憎しみの矛先を向けるようになるわけです。一方ヴィクターは、実家でエリザベスとの結婚の準備に余念がない日々を送っていました。そこへ人造人間が乗り込んでいきます。彼はヴィクターに、自分の伴侶の創造を要求。ヴィクターは彼を退治しようとしますが、逆にエリザベスを殺害されます。ヴィクターは理性を失い、あろうことか、エリザベスの蘇生手術を強行!で、彼女は生き返りました。……この映画を観て、すでに10年以上もの月日が流れてますけど。1番脳裏に焼き付いているのは、あのときのエリザベスの姿です。何しろ、ヘレナ・ボナム・カーターの端正な顔にですよ。人造人間ばりの手術の傷跡が、頭といわず顔といわず、ビッシリ刻まれてるんですから。あれ、マジでムゴすぎますよ。デ・ニーロが演じているフランケンシュタインよりも、よっぽど怖いっす。現代では、クローン創造とか人工授精とか色々やってるようですけど。人間が何の覚悟もなく、神の真似事をやっちゃいけないと思うんですよね。それは、とかく「ゆがみ」が生じやすい行為なわけで。あのエリザベスの姿は、その「ゆがみ」を象徴している気がします。事実、自分の醜い顔に取り乱したエリザベスは、ランプの炎に触れて火だるまになり、そのまま屋敷中を走り回りました。ヴィクターの生まれ育った広大な屋敷は、たちまち大炎上。その後、すべてを失ったヴィクターは、なんとしても人造人間を退治しようと、彼を追って北極海までやってきます。そこで出会ったウォルトン船長にすべてを語り終えると、それまでの無理がたたり、息を引き取りました。ウォルトンは、この話が実際にあったことだとは、とても信じられませんでした。ところがその直後、人造人間が船上に現れます。彼はヴィクターの死体を前に、「自分は、父に名前すらつけてもらえなかった」と、父の死に涙を流すのでした。そのとき、船の周囲の氷がひびが。人造人間はヴィクターの遺体とともに流氷に乗って闇の彼方へ消えていきました。それを見送ったウォルトンは、船をUターンさせたのでした。