『ちょうちょう』(スペイン民謡/作詞 野村秋足)
ちょうちょう ちょうちょう 菜の葉に とまれ
菜の葉に あいたら 桜にとまれ
桜の花の 花から 花へ
とまれよ 遊べ 遊べよ とまれ
誰もが知っている童謡の『ちょうちょう』です。
菜の葉にとまったあと、次なる蜜を吸いに桜の花に移るさまを詠んだ歌ですが、都内では菜の花と桜を両方見る事がなかなか出来ませんが、写真のような場所で作られたのでしょうかね?
さて童謡という言葉が世の中に出てきたのは、大正時代以降と言われています。
それ以前は唱歌と言われ、更にその前はわらべ唄と称されていたようですが、この唱歌が登場したのは明治14年(1881)の事です。
子供たちのの情操教育に…という観点から《小学唱歌集 初編》が発表されますが、今で言う小学校の音楽の教科書ですね。
この時に発表された曲のひとつが、『ちょうちょう』です。
この唱歌集が編集される際、国内で作られた楽曲を中心に目指していたそうですが、残念ながら国内で作られた曲に限りがあった事から、海外の曲も多数取り入れる事になったそうです。
その中の『ちょうちょう』はスペイン民謡で、歌詞は尾張地方に古くから伝わる《わらべ唄》と言われています。
冒頭の歌詞は現在歌われている歌詞で、終戦後の昭和22年に発表された「一ねんせいのおんがく」に掲載され、現在まで歌われています。
上野の旧東京音楽学校奏楽堂には、明治14年発行の小学唱歌集初編が展示してあり、その中の「蝶々」の歌詞をみたら
てふてふてふてふ 菜の葉にとまれ。
なのはにあいたら 桜にとまれ
さくらの花の さかゆる御代に
とまれよあそべ あそべよとまれ
と“ちょうちょう”の部分が“へふてふ…”と古い記述で、時代を感じます。
また当初は1番2番と歌詞があったようです。
またこの曲はお隣韓国や中国でも童謡として歌われています。
韓国では「ナビヤ」という題名で日本訳は「蝶々よ」
中国では「蜜蜂工作」という題名で、こちらはミツバチの歌です。
『ちょうちょう』は、幼稚園や保育園で今でも歌われていますし、誰もが一度は歌ったことがある曲ではないでしょうか?
私たちの童謡コンサートでも、ちょっと変わった楽器で演奏する時に、よく『ちょうちょう』の演奏をしてもらいます。
まさに誰もが知っいて、旋律が良いからこそ、直ぐに演奏が出来、皆知っています。
でも誰もが知っているこの童謡が、127年前に発表された曲と知っている人たちは、そう多くはないのでは…。
そう思うと、これからもずっと大切にしていきたい童謡のひとつですね。
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