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日本映画

2012.01.03
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カテゴリ:日本映画
 覚悟してはいたものの、なんともおぞましい園子温ワールド。
実際に起こった " 埼玉愛犬家殺人事件 " をベースに、ふとしたはずみから極悪非道な男の片棒を担がされ、後戻りの出来ない殺人事件に巻き込まれていく男の姿を描く。

小さな熱帯魚屋を経営する信行(吹越)は、妻・妙子(神楽坂)と、前妻の娘・美津子との三人で細々と暮らす善良なだけが取柄の男。ある時、娘の万引事件をきっかけに、大手熱帯魚店のオーナー村田幸雄(でんでん)と知りあう。彼は、言葉巧みにその場を治め、娘の美津子は自分の店で預かって更生させよう、と申し出る。
しかし、この村田と妻の愛子(黒沢)は、何十ものバラバラ殺人事件を繰り返す狂気の極悪人だった――。

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性格俳優、吹越満氏の怪演といい、でんでん氏のこんなおやじいます! 的なイカレタ殺人鬼といい、お色気ムンムンの黒沢あすかといい、ガンガン役者の魅力を引き出すのが園子温監督なのだなぁ。とにかくものすごい。
あれよあれよという間に、村田夫婦の魔の手にかかり、ヒト殺しの手助けをするはめとなった信行は、愛する家族のため、おぞましい血みどろの裏世界に足を踏み入れていく。
いつしか、夫妻を凌ぐ強靭狂気の男へと変貌を遂げるところなど、敬愛する塚本晋也作品にも通ずるところがあってぞくぞくした。エログロなところも似てる。
さいきんの韓国映画を観ていると、究極までエグサを追及していて圧倒されてしまうけれど、日本にもこういった監督さんがいることで、そっち方面の未来は明るい気がしてしまいます。

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映画にでてくる熱帯魚って、いいね。『シュリ』(古っ!)とか『FRIED DRAGON FISH --』とか、ドラマ『ケイゾク』も真山さんが金魚飼ってたっけ。魚を飼ってる人物を偏愛する傾向があるかもしれない。でんでんさんはともかく、この吹越満さんがブチ切れた果てにみせる男ぶりに惚れぼれした。
それに負けないのが、『六月の蛇』が素晴らしかった黒沢あすかさん。彼女の色気と狂気の凄味は、もう半端ないです。  
蛇足ですが、園作品に出演目白押しの女優・神楽坂恵さん、本作撮影後、監督とご結婚なされたそう。


     監督  園子温
     脚本  園子温  高橋ヨシキ     
     出演  吹越満  でんでん  黒沢あすか  神楽坂恵

     (146min)








Last updated  2012.01.03 20:22:22
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2012.01.02
カテゴリ:日本映画
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 久しぶりに観ましたがやはりおもしろい、文句のつけどころない傑作。昨年公開された『一命』とおなじ原作、滝口康彦の『異聞浪人記』を映画化した時代劇サスペンス。


 (あらすじ) 彦根藩井伊家の上屋敷に、津雲半四郎(仲代)なる浪人ものが現れ、切腹のためにお庭を拝借したいと申し出る。家老(三國)は当世の流行である切腹をタネにたかりに来た若侍・千々岩求女(石浜)が、竹光で腹も切れず舌を噛み切って死んでいった顛末を語る。ところが、その若侍は半四郎の娘(岩下)の婿で、病気の妻と子を抱えいたことが、半四郎の口から次第に明らかになっていく・・・・。

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回想形式でぐいぐい引き込まれていく。淡々と語る仲代達矢の語り口にしびれる。三國連太郎をはじめとした井伊家の非情な仕打ち、武士道の悲惨な一面を批判しつつ、サスペンスあり復讐劇ありの、面白さ揃い踏みといったかんじ。
竹光で腹を切る苦悶に満ちた求女の表情、流れる血・・・・・隙のないモノクロ画面に、ドロっとした血の黒さが怖ろしさを倍増させる。

この役、『一命』では瑛太が演じています。義父の半四郎には市川海老蔵。『切腹』の完成度があまりにも高いので、俳優として好きな瑛太に、がっかりするのでは・・・なんて杞憂からなんとなく敬遠していたけれど、評価サイトを眺めると案外悪くない。レンタルが出たら手に取ってみようとおもう。
わたしはふだんあまり時代劇を観ないのだけれど、黒澤明監督の一連の時代劇はすきです。本作は、クロサワ時代劇とは一味違ったストーリ展開の小気味よさとスマートな間があって、そこがいいのかもしれない。
ところで役者陣の撮影当時の年齢、ご存知でしょうか。仲代達矢30歳、岩下志摩21歳、三國連太郎39歳。貫禄がすごくて、とても見えませんねー。丹波哲郎氏は、いつから霊界と通じてしまったのかわからないけれど、当時は威風の人だったのだなぁ。

一風変わった脚本の妙、怖ろしい切腹に纏わる復讐劇は、時代劇の傑作で、これから何度観てもきっと飽きないとおもう。



  監督  小林正樹
  原作  滝口康彦
  脚本  橋本忍
  出演  仲代達矢  岩下志麻  石浜朗  三國連太郎  丹波哲郎

  (モノクロ/134min)







Last updated  2012.01.03 13:13:22
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2011.12.23
カテゴリ:日本映画

 宮沢賢治作品のアニメ版はおもしろい。いただきもののDVDは、繰り返し観ているお気に入りのひとつで、『セロ彈きのゴーシュ』『グスコーブドリの伝記』『賢治のトランク』シリーズなど、どれもじんわりと切なく、優しい気分になります。

なかでも、だんぜん完成度の高い本作は、原作『銀河鉄道の夜』の登場人物を猫の姿に置き換えて描いた、静謐で純粋で幻想的なアニメーション。
サブタイトルごと流れる印象的な音楽が、不思議な旅路を行くジョバンニとカンパネルラの心象風景に至極似合う。
あまりに清らかなもので、胸は抓られるようにイタイけれど、どこまでも切ないお気に入り。


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そうしてこのたびサントラを買いました。
頭に鳴りつづけたまま、そのまま年を越えたいです。



-――-――-――-――-――-――-―

   監督  杉井ギサブロー
   アニメーション監督  前田庸生
   原作  宮澤賢治
   脚本  別役実
   音楽  細野晴臣
   声  田中真弓  坂本千夏  堀絢子  納谷悟朗

   (107min/Night on the Galactic Railroad)









Last updated  2011.12.23 22:16:04
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2011.12.10
カテゴリ:日本映画
  これは相当おもしろい。ほぼ主役の4人しか登場しない、絶妙な笑いと奇妙な間がなんともいえないおかしみを生むブラックコメディ。
変人たちの織りなす愛と復讐の人間ドラマは、変態チックで、オタクぽくて。突き抜けたどうしようもなさが愛おしい。 

 (あらすじ) とある古びた平屋の集合住宅、他人の機嫌を窺って生きる奈々瀬(美波)は、同居の男・英則(浅野)を、兄でもないのになぜか“お兄ちゃん”と呼んでいる。ある日、近所に、番上(山田)と妊娠中の妻・あずさ(小池)が引っ越してきた。あずさは奈々瀬の高校時代の同級生だった。番上夫妻の出現は、奈々瀬と英則の関係に少しずつ変化をもたらすのだが――。

336483_01_02_02.jpg   336483_01_04_02.jpg


原作は舞台劇らしく、物語展開はほぼ集合住宅のみ。場面づくりの妙と人の魅力で、一気に見終えてしまった。この4人のキャスティングがとにかく絶妙で、怪演妙演のオンパレードだった。
ひとに嫌われたくなくてへつらって生きる奈々瀬の悲しい性はともかく、登場シーンからしてハンパない引きなのだ。彼女のめんどうくさい生き方に巻き込まれた3人が、それぞれに葛藤と復讐と愛を昇華させて殻をぶち破って生き直してくまでを、巧妙な脚本でぐいぐい描き倒す。

とにかくみんなヘンテコ。子どものころ奈々瀬に両親を殺されたと信じている英則は、軟禁状態に置くことで奈々瀬に復讐をしている。しかも屋根裏から彼女のことを覘いたりするヘンタイ。
越してきた身重のあずさは、奈々瀬のことをなぜか憎悪していて、それは過去に彼氏を寝盗られたからなのだが・・・・またしても夫の番上を寝盗られてしまう・・・・。

相手の機嫌を窺うから「YES」も「NO」も言えず、ただ愛想笑いしかできない奈々瀬は、不幸を呼び寄せてさらにどん底に堕ちていく。演じる美波がかわいすぎて、とても幸薄げには見えないが、憎めない主人公を好演している。絶対友達にはなりたくないけれど!
4人がそれぞれにはじけていて、邦画もまだまだ捨てたものじゃないなーと思った。
接吻』がとても好きだった小池栄子の存在感、山田孝之の滑稽さ、浅野忠信の変態度合、美波の異彩、個性炸裂の一本。

ひさしぶりに容赦ない惹かれようだったなー。すごくおすすめ。



   監督・脚本  冨永昌敬
   原作  本谷有希子
   音楽  大谷能生
   出演  浅野忠信  美波  小池栄子  山田孝之
 
   (カラー/97min)






Last updated  2011.12.11 07:40:42
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2011.10.23
カテゴリ:日本映画

  岩井俊二監督のデビュー15周年記念DVD『initial イニシャル』のなかの2作品。


 『雪の王様』  関西テレビ「TV-DOS-T」より

 全編ほぼ、主人公二人のモノローグ。
独白が苦手であまり楽しめず、岩井俊二らしさはまだ見えない。

<青山のデザインオフィスで事務をしている康子(石橋有紀)と、同僚のコウちゃん(梅田凡和)の恋物語――>

惰性的なふたりの関係は救いがなくて・・・康子が抱えた多額の借金も、捨て猫を拾うようなコウちゃんの愛し方も、ぜんぶが悲しい。

監督自ら名付けた "危ない生活シリーズ" の一作だそうだが、危ないというよりは地に足のつかない都会人の、あぶなっかしい生活を切り取っている。

タイトルと内容の繋がりはなんだろう。
はじまりと終わりの康子によるモノローグ。
「幼いころ、初雪が降ると玄関いっぱいに雪だるまを並べた――」という台詞。大人になってからの雪だるま式借金と、語呂合わせ的にややつながっている、、けど、そんなわけないか(笑)



 『ルナティック・ラヴ』 フジテレビ「世にも奇妙な物語 冬の特別編」より 


 ひとむかし前の「世にも奇妙な物語」はおもしろくて好きだった。気づけばきっと観ていたはずだけれど、この作品は残念ながら記憶にないのでした。

カメラマニアの男(豊川悦司)が、妄想の恋人(ちはる)につきまとい、殺人を犯していく・・・・。

一口で言えばストーカー。『Undo』を彷彿とさせる豊川悦司がいい。それもそのはず、この2作品は同じ年(1994)に作られている。
画の表情が、慣れ親しんだ岩井監督のもので、真っ赤な画面に差し込む青い光の演出など、たまらなく好きで、15分ほどの小品ながらおもしろかった。
こちらも "危ない生活シリーズ" なんだって。

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こんないい男が町で見かけた女性を一方的に想い、屋根裏部屋に籠って悶々としているってすごい画だなー、いまとなっては。
彼氏と一緒にいる彼女を見つけて、逆上して家にのり込んでくる、狂気の若きトヨエツが見られたのはひとつの収穫だとおもう。









Last updated  2011.10.24 17:01:36
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2011.10.13
カテゴリ:日本映画

  さいきん、もっとも気になる女優・満島ひかりと、その夫・石井裕也監督によるヒューマン・コメディ。PFFスカラシップ作品。


 (あらすじ) 上京して5年目の佐和子は「しょうがない」が口癖のOL。5つ目の職場で淡々と働き、連れ子のいる上司・新井健一とそれなりに付き合い、すべてに妥協しながらの人生を歩んでいた。
そんなある日、父の忠男が倒れ、一人娘の佐和子は実家のしじみ工場を継ぐため、渋々故郷へ舞い戻る。
アクの強いおばちゃん従業員たちにはいびられるし、工場経営は右肩さがりだし、健一との仲は上手くいかないし・・・やがて佐和子はドン底に追いつめられてしまう―――。


  低予算ながら、このおもしろさはとても長編初監督作とは思えない。中の下の女が、「しょうがない」さえ言えないどん底期をむかえて、必死の開き直りでがんばっていく姿をユーモラスに、あたたかく描いていく。
佐和子を演じた満島ひかりの、素の輝きが、なんといっても大きい魅力。
先日の『それでも、生きてゆく』のスタッフは、きっとこの映画を観て満島ひかりへのインスピレーションを得たのね。(たぶん)

ドン詰まりの佐和子はついにはじけて、周囲ドン引きの醜態を晒してしまうけれど、彼女のステキに思いきった開き直り人生を、心なく笑うなんて誰ができるだろう。
たいてい中くらいの人生、佐和子みたいにすべて曝け出せるなんて、羨ましい。
無様と言うひとがいても、できればわたしは、彼女のように曝け出しながら素直に生きてみたい。

駆け落ち同然で家を出てから5年。暫くぶりに会った父は余命僅かで、子連れで田舎までくっついてきた健一との仲は上手くいかず、しじみ工場は倒産寸前で、、、もう最悪。
けれども、工場を再生すべく、心機一転、あたらしい社歌で臨むシーンなど、微笑まずにはいれない!
歌のように高らかに、工場は危機を脱して、未来は少しずつ開けてくる。
もちろんその間に、父との悲しい別れや紆余曲折イロイロあるけれど、前向きな芯の強さに元気づけられ、笑えること必至の、とても中身ある小粒な快作だった。




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監督・脚本  石井裕也
出演  満島ひかり  遠藤雅  志賀廣太郎  岩松了

(112min)








Last updated  2011.10.15 11:59:26
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2011.09.11
カテゴリ:日本映画

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 先週末、劇場へ足を運んだ、道民の道民による道民のための(?)エンタテインメント。
原作者は札幌在住、舞台はススキノ、主演は大泉洋―――と思い入れによって面白さが分かれそうなこの作品。
知ってる場所ーとにんまりできる観客で館内は大入りで、あまり経験したことのない臨場感を楽しんだ。笑いどころやざわめきが、どことなしか温かい。


 (あらすじ) 札幌のススキノで探偵稼業を営む"俺"(大泉)。携帯電話を持たず、もっぱら仕事の依頼は行きつけのBAR“ケラーオオハタ”の黒電話に掛かってくる。
ある夜、“コンドウキョウコ”と名乗る女からの奇妙な依頼が舞い込む。仕事を引き受けたはいいが、その筋の男に殺されかけた"俺"は、腹の虫が収まらずに、キョウコの依頼とは関係なく独自で調べを進めていくのだが、その過程で謎の美女・沙織(小雪)を巡る不可解な人間関係と陰謀の事件に行き当たる・・・・。


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TVシリ-ズ「相棒」のスタッフが手がけているだけあって、探偵とグータラな相棒・高田(松田)の掛け合いがとても楽しい。
"北菓楼のおかき"を愛する武道(けんか)の達人・高田は、北大の講師が本業なのだが、アルバイトで探偵の運転手もしているという設定だ。松田龍平の飄々とした演技が妙にはまっている。
後にも先にも惜しいのは、大泉洋にはどうしてもシリアスが似合わないこと。二枚目ぶりがくすぐったい。ふたりの配役が逆でも、おもしろかったかもしれない。


冒頭、大物実業家・霧島(西田)は、悪漢に襲われている女性を助けようとして殺されてしまう。謎の美女・沙織は、霧島の自慢の妻だった。
一年後、奇妙な依頼主コンドウキョウコの一件と、霧島の死が絡み合っていく――ありきたりで予測可能とはいえどハードボイルドな展開が待っている。

笑いありアクションあり、手放しで楽しめる娯楽作品。全体通して小ぶりで、驚くようなことはないけれど、見慣れた街で繰り広げられる探偵ものは、自ずと好評価したくなるのだった。
侮れないのが出演者たちで、田口トモロヲ、竹下景子、石橋蓮司、高嶋政伸などなど豪華だ。
歌手として出演もしているカルメン・マキのエンディング曲が、映画を観終えた心象にぴったり。冬の北海道の情景にとても似合っていた。



監督  橋本一
原作  東直己 『バーにかかってきた電話』
脚本  古沢良太  須藤泰司
出演  大泉洋  松田龍平  小雪  西田敏行

(カラー/125min)







Last updated  2011.09.16 21:13:05
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2011.08.21
カテゴリ:日本映画

 

 瓦屋根の古い家屋が建ち並ぶ小さな町。

警官の友川(奥田)は、平和なこの街で

荒んだ毎日を送っていた。そんなある日、

喫茶店で知り合った少女に誘われホテル

へいく。やがてふたりは本気で惹かれあい

友川の退廃した人生も変わり始めるのだ

が―――。


 先日の『風の外側』が記憶に新しい、奥

田瑛二による監督デビュー作。原作は、

中年男と少女の純愛を描いた、連城三紀

彦の短編小説。

なんとなく捨てておけない作品だった。

フランス映画を意識した音楽や演出からは、

ふしぎな情緒が漂う。昭和の匂いがぷんぷん

するのに、どこかヨーロッパチックだ。

北野映画を思い出すアートを取り入れた画面、監督自らが出演する奇妙な間、外国で評価さ

れるところもちょっと似ている気がする。

それでも中年男と少女の純愛から目を逸らせなかったのは、陽子役の小沢まゆの体当たり

演技がとても好きだったからだと思う。

陽子の母は放蕩の果てに再婚して家を出た、兄は知的障害者、祖父は彫物師。自分は学業

の傍ら、まだ15歳で納棺師について死に化粧を学んでいる。とてもまともじゃない環境で育った

陽子は当然大人びて、中学校でも浮いた存在で友だちもいない。

そんな彼女がSOSを発し近づいたのが、背にじいちゃんの彫った刺青<比翼の鳥>が羽ばた

く町の警官・友川だった――。

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すべてを知って近づいた陽子の強い意志と、少女と本気で生き直したいと思いはじめる友川の

真剣な気持が、行けばゆくほど切なくなる。

障害を持つ兄のエピソードや、自殺した父親の記憶、友川と母の腐れ縁・・・・・ユーモアを交え

ながらも、小さな町に淀んだ過去が重苦しくのしかかる。

情けない友川よりも、よほど真摯に現実を見据えて、陽子は生きている。

写真のとおり、陽子は背に刺青を入れるのだけれど、これって『蛇にピアス』よりずっとヘビーだ。

彫物師のじいちゃんが、今生の最後の仕事として陽子の背に刺青を彫らせほしい・・・・・・そう

哀願するのだった。

「そんなことしたらわたしお嫁にいけないよ ! 学校の検診だって温泉だって困るよ !」

現実的に当然断った陽子だけれど、紆余曲折あって結局彫ってしまうのだった。友川の背に

雄だけで羽ばたく鳥が両の翼と目を与えられるように―――。


小沢まゆや奥田瑛二は、きっと『蛇にピアス』を見て甘ちょろいと思ったことだろう。じいちゃん

の仕事道具はまだ電化されていない手作業、半端なく痛そうなのだ。小沢まゆの苦悶の表情

がたまらなくいい。奥田作品のエロスはこんなところにも表れてくる。

痛みに堪えて、やっと手に入れた<比翼の鳥>。

フランス映画のようなラストシーンに、ふたりの幸せを素直に喜べる爽やかなハッピーエン

ド。あからさまに思えるオブジェには目をつむってしまおう。

原作は別物のようだけれど、読んでみたいなーと思った。




  †    †    †



監督・製作/ 奥田瑛二

原作/ 連城三紀彦 『少女』

脚本/ 成島出  真辺克彦

出演/ 奥田瑛二  小沢まゆ  小路晃

(カラー/132min)







Last updated  2011.08.21 21:17:33
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2011.08.05
カテゴリ:日本映画


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 『めがね』以来となる、ひさしぶりの荻上直子監督最新作。やっぱりいいねー。

製作チームはおなじでも、荻上監督が作るものはだれにも真似できないし、文句なしにい

い。

 

 (あらすじ) 問題だらけでバラバラな3兄妹、モーリー、レイ、リサは、母親が亡くなって

実家で同居することになった。実家には母が亡くなる直前、日本から呼び寄せた祖母

の"ばーちゃん"がいるのだが、彼女は英語が喋れず自室に籠りっきりだ。しかもトイレが

長く、出てくるたびに不思議な長いため息をつく・・・・。

ちょっとおかしな家族が、深い絆でむすばれる姿をユーモラスに描いた快作。


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引きこもりでピアニストの兄モーリーも、厭世的でプラモデルオタクの弟レイも、勝ち気な

妹リサも、みんな可笑しくも愛おしい人々。好き勝手して、互いをうまく労わってあげられな

かった兄妹たちがいつしか変わっていくのは、怒るでも悲しむでもなくただ静かにいてくれ

"ばーちゃん"のおかげ。

「ほんとうの自分で、おやんなさい」

そんなことひと言も発していないのに、佇まいと眼差しで語りかけるもたいまさこの圧倒

的な存在感がサイコーにステキです。彼女の包容力はもはやミラコー。


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兄妹みんなどのエピソードもとてもいい。たとえば、モーリー(写真・左)は、母の形見の古

びた足踏みミシンを"ばーちゃん"に直してもらい、作りたいものがある!と、4年ぶりに外

出する。パニックになりながら必死になって買ってきた可愛い布で、彼が縫ったものとは

・・・・・!! (驚)

結局、この作りたかったモノのおかげで、彼の心の病は癒されて、再びピアノを弾くことが

できるようになる展開が好き。 So クール!

 

論理的なオタクのレイにつきまとう、3000ドルの誘惑もじつにたのしい。

血の繋がりを感じられない"ばーちゃん"をDNA鑑定するのに3000ドル。どうしても欲し

いプラモデル3000ドル。車の修理費3000ドル。・・・・もっとたくさんの3000ドル。

彼が最後になにを選ぶのか、予想もつかなかったサプライズ、そしてタイトルのトイット

まで、一気にみせてくれる、爽快な後味と小気味良いオチ。

 

どのシーンもたまらなく好きで、曇り空さえいとしかった。

選び抜かれたセットや小物は、いつもながら凝視したくなるほどに魅力で、食べ物のシー

ンも相変わらず上手くて、ギョーザと瓶ビールと煙草がすごく美味しそう。

ほんわか切なく、とびきりユーモラス、何気にロックな魂でもって描いた家族の絆の物語

は、ひょっとすると『かもめ食堂』より好きかもしれない。

ビバ! 荻上監督!


(カラー/109min/日本=カナダ)








Last updated  2011.08.09 16:41:18
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2011.07.17
カテゴリ:日本映画

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 吉田喜重監督が日本航空と提携して製作した作品。

男女の会話劇、繰り返される独白、原爆というキーワード。否応なく『二十四時間の情

事』を思い出す。

当時、日本航空はアジア初の"世界一周路線"を実現したばかり。宣伝も兼ねた旅情を誘

う作品といっていいのだろうか。。訪れる都市は、ポルトガル、スペイン、フランス、スウェ

ーデン、デンマーク、オランダ、それにイタリア。ヨーロッパ映画のような情緒あふれるロー

ドムービーとなっている。主演俳優2人と6人のスタッフのみで、旅しながら撮影されたとい

う。

 

 学生の頃、長崎の博物館で見た写生画のカテドラルに心を奪われ、その原型を探しに

旅に出た川村(横内)。辿りついたリスボンで、買い付けの仕事をしている直子(岡田)と

出会い、恋に落ちる。しかし彼女にはアメリカ人の夫と、そして、消し去った過去があっ

た――。

 

故郷を捨てた女と、旅先で恋に落ちた男。詩的な会話が、異国情緒漂うなかで繰り広げら

れていく。監督の妻、岡田茉莉子の美しさが、ひと際きわ立っていた。

何度別れても、幾つもの国々で、おかしなくらいに再会を重ねるふたり。

ありえない――そう思いながらも、気がつくと、旅先の風景に心奪われ心絆され。ストーリ

ーは二の次の、非現実を漂うロードムービーが、いいなと思う。

 

"長崎"。この街で直子は、母と弟を失った。終戦の夏から、帰る故郷をなくしたと信じる

直子の悲痛な嘆きは、川村の一途な想いを受けても癒すことはできなかった。

すでに冷めている夫との別離を決意したのも、新しい愛のためじゃなく、かりそめの夫婦

関係から自分を自由にしただけ、、さらに深まるだろう彼女の孤独が、強さと美しさに彩ら

れながら深まっていく。

凛としたカッコいい直子こそが、本作の主人公。ひと夏の旅は、静かに終わりを告げてい

く。

戦争と原爆にしっかり焦点をあてていた『二十四時間の情事』とは、根本は違っているの

でくらべまい。どちらも好きな作品だと思う。

どこかへ旅したくなること必至。それは魅力な、歴史ある建造物と街並が目を楽しませてく

れるから。


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監督/ 吉田喜重

脚本/ 山田正弘  長谷川竜生  吉田喜重

音楽/ 一柳慧

出演/ 岡田茉莉子  横内正

(カラー/96min)
 







Last updated  2011.07.20 20:39:50
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