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カテゴリ:源氏物語つれづれ
ブログを読んでくれている友人がいる。 たまに「今日の文章の上から二行目、おかしくない?」と そういえば最近、「源氏物語って、おもしろいんですねー」と言ってくれる男性が2人 著者はもちろん紫式部なのだが、 「蓬生」の巻は、没落した皇族のお姫様のいともあわれな暮らしぶりを、 この巻で私が特に興味深く読んだのは、末摘花への源氏の歌だ。 「尋ねても 我こそ問はめ道もなく 深き蓬の もとの心を (道もないほど深く繁った蓬のもとを、私こそが探し訪ねてみよう。 ここで「我こそ」と詠んでいるところに、「私ももの好きだな」といった軽い自嘲の思いも 「藤波の うち過ぎかたく見えつるは まつこそ宿の しるしなりけれ (松の木にかかって咲いている藤の花を見過ごし難く思ったのは、 この歌のうつくしさと暖かさに、私はちょっと感動してしまった。 これに対して末摘花は、今までになくすぐ返歌する。 源氏は、内気で恥ずかしがり屋の末摘花も「昔よりは、ねびまさり給へるにや」 もちろん源氏はこんなボロ屋に長居は無用で、宮とはいえ人並み以下の容貌の姫に それからもう一つ、侍従へのはなむけとして、 形見に添へ給ふべき身馴れ衣もしほなれたれば、年経ぬるしるし見せ給ふべきものなくて、わが御髪の落ちたりけるを取り集めて鬘にし給へるが、九尺余ばかりにていときよらなるを、をかしげなる箱に入れて、むかしの薫衣香のいとかうばしき一壺具して給ふ。 昔むかし、初めて読んだ時は『気持ち悪い』と思ったものだが、今回訳していて 大野晋先生は岩波古語辞典の中で、「きよげ」が第二流の美に対していうに、 小学館の古語大辞典でも、「きよげ」が清楚美、こぎれいな美をいう」に対して 現代では抜け落ちた長~い髪の毛など、厭わしく不気味な老廃物でしかないのだが、 「9尺余」をメートルに換算すると3メートル近い長さになるから、 その上末摘花は皇族だから「いときよら」と表現されているのも頷ける。 しかし紫式部という人は、源氏物語を読む限り お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
March 5, 2017 09:54:33 PM
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