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私訳・源氏物語

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September 15, 2021
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カテゴリ:源氏物語
中納言が住み慣れた主人顔で女房たちを気安く呼び使い、
お食事を差し上げたりしていますのを、
宮は哀れにも面白くもお思いになって見ていらっしゃいます。

大君のせいでたいそう蒼白くお痩せになって、
気が抜けたようにぼんやりしていらっしゃいますので
可哀そうにお思いになり、心を込めて弔問なさいます。中納言は、

『ご生前の大君のことなど今更言っても仕方がないけれど、
この宮にだけは聞いてもらいたい』

と思うのですが、意気地なしの愚痴と取られるのではないかと憚られますので、
どうしても口数がすくなくなるのでした。

幾日か声をあげて泣いたものですからお顔が腫れているのですが、
見苦しくはなく反っていっそううつくしく上品ですので
『自分が女なら、きっと心を移してしまうだろう』と、
宮はご自分の移り気なご性分からお気をまわされるにつけても
中君のことが心配で、

『どうしたら世間から非難を受けずに中君を京に移せるかしら』

と思案なさるのでした。

中君の気持ちは解けず冷たい態度のままなのですが、
これ以上とどまっていたならきっと内裏が聞し召して、
ひどく険悪になりそうですので、今日はお帰りになりました。

優しい言葉の限りをお尽くしになるのですが、中君は、

『お越しいただけないとどんなに辛く苦しい思いをすることか、
それだけは分かって欲しいの』

とお思いですので、打ち解けないままなのでした。





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最終更新日  September 15, 2021 09:19:21 PM
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