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私訳・源氏物語

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April 27, 2022
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カテゴリ:源氏物語
格子を上げたまま眠れずに夜をお明かしになって、
朝顔の花が開くのを一人でご覧になるのでした。

お側に仕える者を召して、

「三条の宮邸に参るから、目立たない車を出させよ」

とお命じになります。従者は、

「宮さまは昨日から内裏におわします。
供人が夕べ御車を引いて帰って参りましたので」

と申します。

「構わぬ。対のおん方がご病気でいらっしゃるから、
その見舞いに参る。

今日は私が参内する日だから、日が高くならぬうちに」

と仰せになり直衣をお召しになります。

出かけるついでにお庭に下りて花の中にお立ちになるご様子も、
特に風流に振る舞わなくともあでやかで風雅で、
不思議なほど優美でいらして、こちらが恥ずかしくなるほどなのです。

ひどく気取った色好みどもとは比べようもありません。

朝顔を取ろうとお引き寄せになりますと、露がほろほろとたいそうこぼれます。

「けさの間の 色にやめでむおく露の 消えぬにかゝる 花と見るみる

(露の消えぬわずかな間に咲く、はかなく脆い花と知りながら、
その色香にどうして心惹かれるのであろう)

何と愚かなことよ」

と独り言ちながら花を折って持っていらっしゃいます。

なまめき立っている女郎花には目を止めずお立ち出でになります。





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最終更新日  April 27, 2022 08:09:21 PM
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