順列7種合
ちょっと笑える詰将棋を紹介します。小林看空氏作の『順列7種合』です。単に7種類の合駒が一通り登場するだけではなくて、歩から順番に香・桂・銀・金・角・飛と合駒されていきます。こう書くと何だかひたすら高度な技術が要求される、前に紹介した北原義治氏作よりもはるかに上を行くどうしようもなく縁の無い、自分とはかけ離れた世界の代物のように思われるかも知れません。しかし騙されたと思って、ちょっとよく見て欲しいのです。盤上には自玉を除いた39枚全ての駒が配置されていて、益々難解そうに見えるかも・・・しかしこれは単に合駒を限定するために置かれたものであり、ある意味安直な発想の下に置かれているとも言えるのです。▲9七歩 △同 玉 ▲9九龍 △8七玉 ▲7七と △同 玉▲9七龍 △8七歩 ▲6七成香 △同 玉 ▲8七龍 △7七香▲5七成桂 △同 玉 ▲7七龍 △6七桂 ▲4七成銀 △同 玉▲6七龍 △5七銀 ▲3七金 △同 玉 ▲5七龍 △4七金▲2七馬 △同 玉 ▲4七龍 △3七角 ▲1九桂 △1六玉▲2七金 △2五玉 ▲1四銀 △2四玉 ▲2五歩 △同 桂▲5一角成 △3三飛 ▲同 馬 △同 玉 ▲2三飛 △3二玉▲3三香 △4一玉 ▲2一飛成 迄45手詰初手はこれしかない9七歩で、玉方から見ても同玉の一手。次もこれしかない9九龍、歩合は二歩なので8七玉。次も7七との一手でこれまた同玉。9七龍に歩の合しかないので8七歩。続いて王手を続けるには6七成香しかない。同玉、8七龍に歩は二歩なので今もらった香を合するしかない・・・・・・続いて成桂を捨て、またその桂合しかなく、成銀を捨ててまた銀合・・・と実に分かり易い手順によって歩~角合までをいとも簡単に順番に発生させました。その後も上に自然に追って行き最後の飛合が登場。あっさりと仕上がります。このパロディー精神というのか、人を喰ったような、ある意味理詰めの実に分かり易い、「詰将棋とはこんな作り方をしていいのか?」と思ってしまうような作品です。詰将棋の嫌いな人にこそ是非この作品を盤に並べてもらって今迄の誤解を解いてもらいたいものだと思います。