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イタリアで食べたい

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Mar 6, 2005
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カテゴリ:料理
今日は、「料理のイタリア語」の話です。

イタリア語のレシピを訳していると、日本語にするとうまくニュアンスが伝わらないなあ、と思う言葉が時々出てきます。
たとえば、「アル・デンテ」。
この他にもいろいろあるのですが、先日見た「ためしてガッテン」のオリーブオイルの回で、偶然、そんな言葉がいくつか説明されているのを見ました。

番組では、スパゲッティ・アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノを例にとって、オリーブオイルの上手な使い方を解説していました。

イタリアのHPの中から、一般的なレシピを1つ、選んでみました。

1) Far cuocere la pasta in abbondante acqua salata e nel contempo procedere alla soffrittura in olio di aglio e peperoncino.
・・・たっぷりの熱湯(塩を加える)でパスタをゆでる。その間に、オリーブオイルににんにくと赤唐辛子を入れてソッフリットにする。
2) Raggiunta un'ottima rosolatura sfumare con vino ed unire una manciatina di prezzemolo.
・・・にんにくが適切な状態(焦げない程度に火が通って油に香りが移る)になったら、ワインをかけてアルコール分を飛ばし、イタリアンパセリのみじん切りを加える。
3) Quando la pasta avra' raggiunto il giusto punto di cottura "al dente" scolarla e, leggermente colante, versarla in padella.
・・・スパゲッティがアルデンテになったら取り出してざっと水気をきり、フライパンに入れる。
4) Saltare e mantecare.
・・・パスタと油をなじませてマンテカーレする。

さて、訳文の中で、なじみのない言葉が2か所出てきました。
あなたは、このままでも、どんなことを言おうとしているのか、だいたい想像できますか?
実は、この答えは、翻訳者としてとても知りたいことです。

1)のソッフリットという言葉と、これを動詞にした「ソッフリッジェレ」という言葉は、イタリアの基本の調理用語です。
でも、「アル・デンテ」と同じで、ピンとくる日本語が思いつきません。
「フリット」 は“揚げる”で、「ソ」は「ソット」=「下」「足りない」というような意味です。
つまり、揚げる作業の一種なのですが、もっと軽い調理で、「揚げる」と「炒める」の中間なんです。

「炒める」というと、中華料理のように熱した油に材料を入れて、混ぜながら材料の水分を飛ばしていくイメージがあります。
それに対して「ソッフリット」は、多めの低温の油の中に材料を入れて、材料の水分を油の中にしみ出させて(フランス料理のシュエ=“汗をかく”という表現は分かりやすいですね)、油自体をソースとして使う調理法です。
オリーブオイルが、種子ではなく、果実を搾った唯一の油(番組ではジュースだと言ってました)だからこそ活きる調理技術です。

イタリア料理は、香味素材をオリーブオイルでソッフリットにすることから始まる場合がとてもたくさんあります。
そして調理の最後は、4)のように、「マンテカーレ」して仕上げることがよくあります。

番組では、素人と「アルポルト」の片岡シェフが同じ材料で作った料理を比べて、その味の違いは、最後の仕上げにある、と分析していました。
仕上げのテクニックとして使われていたのは、「乳化」という言葉です。
パスタのゆで汁を少量ずつ数回に分けてパスタに加え、麺全体に油をしっかりからめるテクニックでした。
ゆで汁を一度にかけると、麺にからまっていた油が全部落ちてしまって、もさっとした食感になるそうです。
料理をする人の間では常識なのかもしれませんが、ゆで湯を少量ずつ数回に分けて加えるという技は、私は初めて知りました。

イタリアの本で、「ゆで湯を少しずつ加える」と書かれたレシピは、見た記憶がありません。乳化という言葉も滅多に使いません。
でも、仕上げの「マンテカーレ」という作業には、まさに「乳化」と同じ効果があります。
「マンテカーレ」は、「和える」よりもっと強く混ぜる調理法です。フライパンをあおったりするのも「マンテカーレ」です。
干ダラを使った「バッカラ・マンテカート」というヴェネチア料理がありますが、これは、ゆでて細かくほぐした干ダラに油を少しずつ加えながらホイップして、油を乳化させる料理です。
ただ、普通は「マンテカーレ」は乳化よりもっと軽い意味で使われます。

左の写真はスパゲッティ・アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ。
放送の翌日には、日本中でこの料理を作る人が続出したはず。
右はバッカラ・マンテカート。レストランで食べるともう少し油が多いかも。
 ↓
スパゲッティとバッカラ

「ソッフリッジェレ soffriggere」も「マンテカーレ mantecare」も、イタリアの基本の調理用語です。
「焼く」や「炒める」という作業も、「アッロスティーレ」、「ロゾラーレ」、「サルターレ」など、日本語では微妙に言い表しきれない調理用語を使います。
料理用語からイタリア語を勉強するというのも、楽しいかもしれません。

ちなみに、スパゲッティ・アーリオ・エ・オーリオはカンパーニア料理で、これに唐辛子が入ったアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノはアブルッツォ料理です。

「ためしてガッテン」★これが正解!オリーブオイル新調理術:の詳細はこちら





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Last updated  Mar 6, 2005 07:21:38 PM
コメント(10) | コメントを書く


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勉強になります!   accoponco さん
確かに、普通に生活していれば、「ほいほい、そんな感じでね。」なんて軽く流しちゃいますが、翻訳となると奥深くしーーーーっかり忠実に訳さないといけないんですもんね…
どうも文章、言葉に弱い私には本当にプレッツェーモロさんってすごい!! (Mar 6, 2005 07:57:09 PM)

Re:料理のイタリア語(1)~「ためしてガッテン」編(03/06)   11290715 さん
うーん。すんばらしいです。
乳化。確かに美味しい料理のポイント
ですね。家ではやりませんが厨房で
余裕があるときには、フライパン、ゆすり
まくります、手と足と腰まで(笑)。体全部だ(笑)。
しかし本当に文章うまいですね~。
いつも感心してます。
では (Mar 6, 2005 08:27:23 PM)

Re:料理のイタリア語(1)~「ためしてガッテン」編(03/06)   Giovanna さん
普段レシピを見る時はそれこそ「そんな感じ」と流してしまいますが、私も「炒める」という日本語がなんだかいまいちしっくりこないなと思っていました。やっぱり「炒める」というと中華料理のようなイメージがあるからです。
これはあくまでも私のイメージですが、「ロゾラーレ」というと弱火でゆっくり、「ソフリッジェレ」は中火で少し時間をかけて(ロゾラーレより短時間)、「サルターレ」は強火でささっとというイメージがあります。
以前に私もアーリオオーリオペペロンチーノの作り方で?と思ったことがあるのですが、こっちの人はアーリオとぺペロンチーノを弱火でじっくり火を通すというよりけっこうジュージューいわせて中火くらいで調理するのをよく見かけます。それなので、たぶんアーリオオーリオペペロンチーノは「ロゾラーレ」というよりはやっぱり「ソフリッジェレ」だな、と思いました。 (Mar 6, 2005 11:25:21 PM)

Re:勉強になります!(03/06)   プレッツェーモロ さん
accoponcoさん
毎日、炒めるとか、しんなり炒めるとか、炒め煮にするとか、ほとんどどーでもいいようなことに頭を悩ませてるんですよー。
「にんにくと唐辛子を油で炒めてスパゲッティにからめる」でも済むんですけどねー(;^^)
(Mar 7, 2005 08:13:54 PM)

Re[1]:料理のイタリア語(1)~「ためしてガッテン」編(03/06)   プレッツェーモロ さん
11290715さん
やっぱり乳化はポイントですか。
ある意味、イタリア人でも知らないことを、日本ではNHKで全国民に教えてくれるんだから、すごいですよね。
昔ガンベロ・ロッソが日本のイタリア料理界の特集をやったことがあるんですが、日本のパスタはへたをするとイタリアよりおいしいと言ってましたよ。
(Mar 7, 2005 08:18:58 PM)

Re[1]:料理のイタリア語(1)~「ためしてガッテン」編(03/06)   プレッツェーモロ さん
Giovannaさん
なるほど、ソッフリッジェレはロゾラーレより短時間ですか!貴重な情報です。
炒めるという言葉、他にも、appassireやinsaporireがありました。
ところで、“bocconcini di soia”って何のことが、ご存知ですか?
最近時々目にするんですが、インドネシアのテンペのことかなあ。
(Mar 7, 2005 08:25:07 PM)

勉強になります!   fiorichiari さん
すごーい、面白いこの記事♪
(1)と書いてあるということは続編もあるんですよね?楽しみ~。
なるほど、日本だと炒めるというと表現はひとつしかないけど、イタリア料理の用語だとたくさんの動詞があるんですね。
確かに色々な料理雑誌を見てみると気になる動詞が多々ありますね。例えばstufareだとうんざりさせるっていう意味が本来だと思うんですが料理用語になると「弱火でふたをして煮こむ」って意味になるんですよね?もうちょっとお互い近い意味にしてくれると両方覚えやすいのに~!! (Mar 7, 2005 08:32:23 PM)

Re:勉強になります!(03/06)   プレッツェーモロ さん
fiorichiariさん
その通りです。料理のイタリア語というテーマは、実際の料理は初心者の私が唯一食い込める分野なので、まだまだ追求します(;^^)
stufareと聞くと、私の場合はまず「煮る」っていう訳がでてきちゃいます。まずーい、職業病だあ。
(Mar 7, 2005 08:50:48 PM)

Re[2]:料理のイタリア語(1)~「ためしてガッテン」編(03/06)   Giovanna さん
プレッツェーモロさん
>他にも、appassireやinsaporireがありました。

insaporireはどちらかというと炒めるというより味をつけるだと思います。ソースをからめて味をつけるとか。

>ところで、“bocconcini di soia”って何のことが、ご存知ですか?
>最近時々目にするんですが、インドネシアのテンペのことかなあ。

豆ですが、小さいキューブ型で肉のかわりに食べるというのでスーパーで売っています。食べたことないですけど。
-----
(Mar 8, 2005 10:50:55 PM)

Re[3]:料理のイタリア語(1)~「ためしてガッテン」編(03/06)   プレッツェーモロ さん
Giovannaさん
boccooncini di soia情報、ありがとうございます!


(Mar 9, 2005 11:40:07 PM)


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