三橋TV第781回で、
「赤字になる仕事は受けるな!」
と、語りましたが、97年の橋本緊縮財政でデフレ化した日本は、発注者側が、
「とにかく安く発注することが正しい」
という空気になってしまいました。同時に、需要縮小による競争激化で、受注者側も、
「とにかく安くても、何とか仕事をとりたい」
となった。
加えて、特に物流業界においては、荷主側のJIT(ジャストインタイム)思想の経営により、
「在庫を可能な限り圧縮し、欠品リスクは物流を酷使することでカバーする」
といった状況になってしまいます。
もちろん、荷主側は荷主側で、デフレ下で激しく競争しているわけで、しかも株主資本主義が蔓延し、
「とにかく利益を最大化することが最善」
となり、在庫リスクは圧縮、同時に物流コストも圧縮と、乾いた雑巾を絞るような経営が当然とされてしまいました。
加えて、この状況で日本政府は「消費税増税」を繰り返した。乾いた雑巾として絞られている下請け企業が、消費税増税時に価格を簡単に引き上げられるはずがない。
特に、運送や土木・建設、医療、介護、保育などの「現場」でブラック労働が横行し、賃金が抑制され、人が集まらなくなっていった。そこに、少子高齢化による生産年齢人口比率の低下が被さり、日本は壮絶な人手不足に陥ろうとしている。
となれば、人を「高く」雇わなければならず、人件費アップは当然「売価」に転嫁されなければなりません。運送業でいえば、荷主側に負担を求める。荷主は荷主で、自分の顧客に負担を求める。これが「普通」です。
【日本の道路貨物輸送の企業向けサービス価格指数と実質増減率】
http://mtdata.jp/data_88.html#dorokamotsu
日本の道路貨物輸送の企業向けサービス価格指数は、近年、確かに上昇しています。もっとも、上昇が「不足」し、消費者物価指数の上昇率を勘案した実質値で見ると、下落。(今回の実質値は、生活実感を計りたいため、総合消費者物価指数で計算しました)
特に、昨年の一月は対前年比で4%近い下落になってしまいました。
―――――――――――――――――続く――――――――――――――――――
記事タイトル: 現場で働く生産者のパワーが大きい経済を取り戻す
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