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カテゴリ:読書
太田直子(光文社新書) 以前DVDで「カサブランカ」を観た時に有名なセリフ「君の瞳に乾杯」の原語を確認するために英語字幕にしてみたことがある。 ”Here's lookin' at you,kids!" 「君を見つめているよ。お嬢さん」というぐらいの意味なのだろうか。ボギーの粋なセリフだけど直訳ではまず印象に残らないわけで、「君の瞳に乾杯」とは見事な訳だなぁと思った。 本書の前書きでもこのセリフのことが取り上げられている。実はこの翻訳を担当した清水俊二氏は「ほんとうにこれでいいのかな」と思っていたらしい。確かに原語が意味することとはちょっと違うし、でも言っているボギーの気持ちを表しているようでもある。 というわけで、字幕翻訳者である著者が、字幕翻訳という仕事の難しさ(おもしろさでもあるけど)や悩みを打ち明けている。字幕は短時間に読めることが求められる。そのため実は翻訳ではなく要約であるということ。「売りたい」営業サイドの圧力。厳密さを求める一部ファンからの圧力・・・読んでいる分には他人事なのでおもしろい。 本書のもう一つのテーマは日本語。「させていただく」の氾濫などが指摘されている。確かに私の周辺でも「おうかがいさせていただきます」といった、「どこまでへりくだるんだぁ!」と叫びたくなる言葉があふれている。思わず笑いながら読んだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.05.03 21:49:34
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