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カテゴリ:小説・ノベル
大江戸妖怪かわら版3のご紹介です。
前巻の記事はこちら。 【中古】大江戸妖怪かわら版 3/ 香月日輪 【あらすじ】 雀たちは前回の事件で縁ができた日吉座に招待されました。 演技だけでなく脚本にも魅了された雀は、脚本を書いたのは座長の娘である雪消(ゆきげ)であると知り、彼女と会うことになりました。 しかし雪消は座敷牢の中で暮らしていました。 その理由とは? 【雀、封印の娘に会う】※ネタバレを含みます。 雪消は白鬼の気質が強く出てしまい、人食いの衝動を抱えています。 それを抑えるため、封印を施した部屋から一歩も出ることができません。 ですがそこに悲壮感はありませんでした。 雪消は自分の運命を受け入れて生きていく覚悟を決めていました。 悲劇のヒロインぶらないその生き方は、粋でいなせな江戸っ子の美しさを感じました。 【白鬼春雷を纏い花を舞い散らす】 後半に雪消は封印が解け、力が解放されます。 本作は風景描写の美しさが特徴だと思うのですが、この雪消のシーンも描写が美しかったです。 白鬼の本能が解放され居合わせた者を殺戮する雪消ですが、その姿は春の嵐に例えられていました。 感情を持たず春の花を散らす力そのものであるという表現は、恐ろしさと美しさが同居して妖しい魅力を感じさせました。 【まだ浅き春かな】 本作は全体を通して雀の成長が描かれています。 今回も座敷牢で暮らす雪消に衝撃を受ける雀でしたが、そんな雀に雪消は「なんの憂いもない世界など、どこにもありはしないのだヨ」と言います。 また、なんの憂いもない世界に居て楽しいのだろうかと思う、とも言いました。 愛も憎しみも、喜びも悲しみも背中合わせであり、片方だけというのはダメなのだ、とも。 大江戸は自由な世界ですが、やはり他人に迷惑をかけるのはご法度であり、もちろん殺しは大罪です。 雪消は罪を犯さずに生きていくには、封印を施した座敷牢で暮らすしかありません。 雪消は座敷牢を「自分に生きることを許してくれている世界」と言い、雀は雪消を閉じ込めておくことが親の愛でもあるということを学びました。 本作は児童文学のカテゴリーに入るのだそうです。 雀の経験を通して、様々な生き方や価値観を学ぶことができるのも本作の魅力であると思います。 次巻の記事はこちら。 よかったらクリックお願いします。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.12.18 07:26:25
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