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2009.10.14
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カテゴリ:歴史と文化
 コロンブスによるアメリカ大陸発見の日は、「500年祭」として祝福されるはずだった。多くの南米諸国では、「スペインの日」として祝日になっている。この歴史に疑問を抱いているのが、アメリカ大陸の先住民だろう。コロンブスの発見は、アメリカ大陸侵略の開始を意味するから、500年祭を祝うことはないと公費の声が上がり始めた。南米の民族構成は、スペイン人と黒人と先住民とそれらの混血であり、言語はスペイン語を話す地域が多い。スペインの日を否定することは、自らの存在を否定することにもつながり、複雑な心境になるらしい。
 アステカやインカを築き上げた人々は、スペインに征服されて文明を失った。キリスト教を絶対視するスペイン人宣教師は、インディオを強制的に改宗させて、多くの神殿などを破壊しつくしている。南米と中米の社会と文明が滅ぼされた事実は隠せない。その契機になったのがコロンブスの大陸発見であり、それを南米の住民が祝福するのはおかしいという声が出てきても不思議ではない。
 先住民は少数派なので影響力はほとんどなかったが、米国やEUに対する反発が強い理由は、自分たちの文明が破壊されてきた歴史に対する怒りにある。これは過去の歴史上の出来事なので、現代人には知識としてしか意味はない。スペイン語を話し、カトリック教徒である南米の人々に、インカ帝国の文明の価値を理解することは難しい。唯一の現代的な問題は、奪われた土地に対するインディオの権利を認めるかになっている。
 土地をめぐる問題は、解決が難しい。幸いに、先住民が住む土地は未開発の原野であることが多いことだろう。開発されて住民が暮らしている土地の権利を主張しても意味がない。先住民たちは、スペインに奪われた土地の返還を求める動きを強めている。これまでは、まったく無視されていた人々が権利を主張し始めたので、南米社会の衝撃は大きい。先住民系の政治家が大統領や首相に就任することによって、この隠された問題に光があたり始めた。
 原野で暮らしていたインディオの多くは、スペインとの戦いで土地を失ったり、欧米の企業などに法外に安い価格で土地を売り払っている。経済的に貧しく、土地を失った先住民の問題をどうやって解決するかは、まさに南米最大の政治問題になる。そして、歴史を振り返ってみれば、奪われた土地を先住民に返還するのは自然だし、正義にもなる。しかし、それは欧米企業や豊かなスペイン系住民との対立をもたらす。解決は難しい。





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Last updated  2009.10.14 09:42:48
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