能力な開花させない社会と、新たな共通言語の必要性
osaka仕事フィールドのコミュニケーションセミナーに行ってきました。自己紹介では、せっかく学ぶのだから自分を飾らない正直な紹介をしたいと思い、「コミュニケーションが苦手である」ことと、「発達障害がある」ことを語りました。障害開示は必要のないことであったかもしれませんが、その方が肩の力が抜けて自然体になれました。すると後に続いた方も、発達障害があることを打ち明けてくれました。勇気を出して自己開示して下さったこともうれしく思いましたが、ここに来るまでも、必死な思いで来られたことがわかり、生きる道を模索していることが感じ取れました。何かお力になれることがあると思い、セミナー終了後にお声をかけさせて貰いました。このブログを紹介して、相談機関などの社会資源の紹介や自助グループ活動の説明と供に、状況をお伺いさせて貰いました。もちろん詳細は書きませんが、とても正直に生い立ちを語って下さり、ありがたいことに知能指数テストまでを見せて頂きました。すると、平均IQが120もある方でした。言語IQが飛びぬけて高く、動作IQが低いというASDの特徴的なバラツキがありました。しかし素晴らしい長所がありながらも、学生生活の中で自己肯定感を下げられたこともあり、働ける職場がまったくないと言われているとのことでした。本当に勿体無いと思いました。潜在された能力を持っているのに、社会生活の中で力を奪われてしまっているのです。 人とはペースの違う「コミュニケーション法」や、「学習法」が必要な発達障害者は、画一的な教育方法と、人間関係を選択出来ない義務教育環境では、能力が開花出来ずに、力を奪われてしまう現状を感じました。またその秘めた能力を活かせる雇用環境がなく、障害者として扱われてしまうのです。発達障害者の教育分野改革については、「発達障害者家族」の方の運動で一定の前進が見られており、これから改善していくと思いますが、私たちの世代で本来は能力を持つ人たちが活躍出来る職場づくりの必要性を、ますますの実感しました。セミナーの内容は、コミュニケーションを構成する要素を細分化して解説する非常にわかりやすく参考になる内容でした。しかし発達障害者に対しては障害特性とのすりあわせが必要な部分も感じました。例えば、ノンバーバル(非言語的)コミュニケーションです。自然な表情や視線が保てない原因には、認知能力の違いや、感覚過敏、二次障害による視線恐怖などがあります。 発達障害者の一部の方にとって、自然なノンバーバルコミュニケーションを行う為には、とても難解な心理的な障壁と向き合い克服が強いられるハードルの高い事である場合もあります。ところが、素晴らしい能力や知識があっても、その一面だけで面接に落とされたり、まともな人間に見られないことが、残念ながら多くあってしまいます。悪意なく不自然なノンバーバルコミュニケーションをとってしまう特徴を理解してもらい、表面的な評価を改めて貰うことも必要ではないかと思います。平成28年より「障害者差別解消法」が施行されていきますが、具体的な内容にはこの様なことも盛り込んで頂きたいと思います。 もちろん、当事者同士では、不自然なノンバーバルへの偏見はなく、逆に緊張をとこうとする配慮が働きます。またインプットの特殊性もあります。コミュニケーションに必要な要素に「聴く力」という項目がありました。しかしASDの方の中には、聴覚からの情報処理が苦手な方もおられます。また特定の言語や概念の失認がある方もおられます。 「発達障害者雇用」をする上では、その特性を詳細にアセスメントをすることと、認知が出来る形での情報伝達ツールが必要であると思いました。 しかし、それが出来るだけで問題なくコミュニケーションが取れて、仕事が出来るのであれば業務上のノーマライゼーションと言えるでしょう。ノーマライゼーションとは、障害があってもノーマルに生きられる環境ということです。つまり、これが一般社会のルールを押し付けない障害特性に配慮された雇用環境の一例であると思います。そして「発達障害者雇用」に必要なことは業務のユニバーサルデザインだと思います。ユニバーサルデザインとは障害のある方も含めて誰にとっての、バリア(障壁)のない環境デザインのことです。 私たちのバリア(障壁)はコミュニケーションです。 コミュニケーションが取りにくい段差は、従来の言語のみコミュニケーション形態にあります。その目に見えない段差を解消する新たな共通言語が、概念を視覚化したマニュアルなどであると思います。発達障害者が能力を発揮できる社会をつくる為に、まずはそのツールを開発して仕事というものを通訳していきたいと思いました。2016年9月以後の動きは、ワードプレスサイトに移転してお送りします。新サイト「Professional independence with neurodiversity value」(発達障害者である専門職のインディペンデンス)は以下のバナーからどうぞ。