テーマ:海外生活(7772)
カテゴリ:フライブルク
数日前、日本からフライブルクにいらした環境視察団(といっても二人)にフライブルクの町をご案内しました。
お二人は前日の晩に、ホテルの人にすすめられて大聖堂広場のあるレストランに入ったのだとか。 「あーんなところに入ったんですか。塩辛くてまずかったでしょう!」 「ええ、ホント、がっかりしました。」 「いやねー、もっとおいしいお店があるのにー。あれがドイツレストランだと思われちゃあ困りますねえ」と叫んでしまいました。 どんな国でもどんな町でも、観光客がその土地の名所やおいしいレストランを見つけるのはたいへんですね。 そこで、せっかく「フライブルク日記」と銘打ったこのブログ、これから折にふれて、私家版、フライブルク観光案内として、この町の名所やお気に入りのお店などをご紹介することにしました。 何を紹介するかは、私の独断と偏見で決めますから、ふつうの観光ガイドとは大きくへだたるかも。ガイドにのっていないようなお店や場所を書きたいと思ってますから。二十五年も住んでいるのだから、そこらのドイツ人よりは町のことを知っている、という点だけが頼りです。 まずは、フライブルクの観光案内書に必ず最初に登場するは正式な名所、ミュンスター大聖堂と大聖堂広場 中央駅から町の中心に向かってまっすぐ歩くと、5分ぐらいでたどりつきます。 このブログのタイトル欄の左から二番目の写真に塔が見えます。 今は工事中なので、かっこ悪くてすみません。 このゴシック様式その他が混ざり合ったカソリックの大聖堂は12世紀から300年もかかって、建て増しをくりかえしてできたのだそうです。 フライブルク市民は昔から独立精神にあふれていて、支配者にたよらず、自分たちにお金ができたときに、建て増ししていったのだ、とあるガイドさんが教えてくれました。 大聖堂の窓は美しいステンドグラス。それぞれのステンドグラスにお金を出した人の職業がステンドグラスにも描かれています。 靴屋さんなら長靴の形、パン屋さんならパン(ブレッツェル)といった具合。 クリスマスイブには夜中までクリスマスミサが開かれて、大聖堂はこの日ばかりは人であふれます。 教会の塔に登ることもできます。でも細いらせん階段をエッチラオッチラ上り下りするのは、一度でこりました。 大聖堂には大きな思い出があります。 私が留学生としてはじめて当地に来たのは、もう二十年以上前。 その前に夏期講座で二ヶ月をすごしていたウイーンから、夜行で十三時間ぐらいかかって、朝の五時に中央駅に降り立ちました。十月でしたが、あたりはまだほの暗く、町はどんよりと霧に包まれていました。 知っている人は一人もいなく、住む家もまだ決まっていなかったからか、私が東京育ちだったからか、その前にいたウイーンが華やかだったからか、このフライブルクという町はとてつもなく寂しい場所に思えました。 「あー、とんでもない田舎に来ちまった」 と人っ子ひとり見当たらない駅前に立っていると、とつぜん、霧の向こうから教会の荘重な鐘の音がひびいてきました。 ウイーンでも教会の鐘の音を聞いていたはずなのに、このときの鐘の音は、いまだに強烈に心に残っています。 それ以来、鐘の音を聞くたびに、初恋のような、胸がつまるような、喜びとも悲しみともつかない感動を覚えます。 私がいまだにフライブルクにいるのは、このときの鐘の音が私を引き止めてはなさないとすら思えることがあります(なんちゃって、もう帰化しちゃったから日本には帰れないのよ)。 そんなことを言いながら、教会の鐘の音に文句を言いたくなるときも、実は多いんです。 以前、ある教会のまん前に住んだことがあるのですが、夜中も十五分おきに鐘が鳴るのにはまいりました。x時十五分には一回、x時半には二回、x時四十五分には三回、そしてxx時には四回ゴーン、ゴーンと鳴ってから、さらに、もっと低い音でxx回(3時なら3回、12時なら12回)鳴るのです。 もううるさくって、眠れず。「騒音公害だー」とわめいたものです。これを許している住民の気持ちがわかりませんでしたね。それも教会はいくつもあるので、場所によってはいくつもの鐘の音が聞こえるのですから。 でも、人間には「慣れ」という心強い見方があります。数ヶ月するうちに、まったく鐘の音は聞こえなくなりました。いえ、聞こえてはいるはずなのですが、脳がそれをいちいちチェックしなくなったのです。 つまりは「選択的知覚」。聞きたくないものは聞こえない。見たくないものは見えない、みたいなもの。 ミュンスター大聖堂のまわりは広場になっています。ヨーロッパのたいていの町ではそうですよね。町の真ん中に教会があって、そのまわりが広場。 フライブルクのミュンスター広場では、毎日午前中に青空市が開かれます。教会の南側にはみやげ物屋、八百屋、オリーブ屋、ハム屋、木のオモチャ屋などなど。北側は地元近郊の農家の直売ブースがならびます。私はもちろん北側で買います。フライブルク自体でつくられたシャンピニオンや生シイタケもあるんですよ。シイタケは高いので買いませんが(中国製の干しシイタケで我慢、恐いかな)。 北側の農家のお店には四季折々の新鮮な野菜や果物がならんで、いつも買いすぎてしまいます。野菜も果物もすべて計り売り。家から買い物袋やかごを持参すれば、包装はほとんどいりません。 今はリンゴ、ノヂシャ(マーシュ、羽根のような小さな緑の葉でとてもおいしいサラダ)、ほうれん草、ポロネギ、ブロッコリーやカリフラワー、フダンソウ、セロリの根(細く切ってサラダにしたり、シチューやスープに)、カブが旬かな。 ここで夏にナスの日本品種も見つけました。でもあれは例外だったみたい。 明日七人の友人(全部中年ドイツ人)を自宅での夕食に招待してしまった(友人の一人が呼べといって聞かない)ので、今日は広場でほうれん草を1キロ買いました。こちらのほうれん草は、葉が日本のよりも小さくて、たばではなくてバラ売りされています。 メインをラムのローストにするつもりなので、ラムの付け合せは、ドイツではインゲンが定番なのですが、季節外れなので、季節に合わせてほうれん草とジャガイモのグラタンにしました。 下の写真に見える、大聖堂の隣の赤い建物は、第二次世界大戦で大聖堂と共に唯一、戦火をまぬがれた「歴史的商館」と呼ばれる500年前の建物。中にはお城の部屋のような豪華なホールがいくつかあって、室内楽コンサートや講演会に使われています。 広場にはレストランが軒をつらねています。これらはまさに観光客用で、地元民はあまり行かないようです。団体客用の料理コースは、まさしく観光客を目当てにつくられたものみたいで、おいしいとは言えず、お勧めできません。 いつか、もっとおいしいお店を紹介します。といっても、町の真ん中にはほとんどないんですよね。住宅地とか街中からちょっと離れたところに行かないと・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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