テーマ:海外生活(7772)
カテゴリ:フライブルク
今朝の家の前の通り10.01.09 posted by (C)solar08 (道路の前にころがっているモミの木は、「使用済み」のクリスマスツリー。不要になったモミやドイツトウヒは指定された日に回収され、たい肥にされるのです。) 今日は通りもほとんど氷もないことだし、久しぶりにちゃんと歩いて買い物に出かけました。 といっても、たった十分歩いただけで町の中心に着いてしまいます。 ところが、このところ土が凍っているために、近郊農家は収穫ができないということで、農家の青空市もさびしい状況。 それで、私はエコスーパーに直行。 Freiburg, エコスーパーAlnatura posted by (C)solar08 今日野菜などのほかに買ったのは、フライブルクにある有名なエコ豆腐メーカー、Life Food社の「Taifun」(つまりは台風)というブランドのお豆腐三種。 フライブルクのメーカー「Taifun」の豆腐たち posted by (C)solar08 ドイツでも昔から豆腐は入手できましたが、二十五年ぐらい前は、まだ中国食品店で売られている、いささか酸っぱくておいしくない豆腐がほとんどでした。 その後、豆腐が健康によいことが知られるにつれて、いわゆるエコショップ(有機・無農薬農業でつくられた野菜・果物、それらを飼料として育てられる家畜の肉、これらを素材としてつくられる加工食品、オーガニック衣料、石けん素材の洗剤などを売る店)にも豆腐が登場するようになり、現在はドイツでもいくつかのメーカーが豆腐を生産・販売しています。 フライブルク産の豆腐「Taifun」はそんな中でも草分け的存在です。 1985年、学生としてフライブルクに住んでいた私は、ある日ミュンスター広場の青空市で、パックなしで売られている豆腐を見つけました。 売っていた女性の「日本から来た豆腐マンに教わって、自家製の大豆で手作りしているお豆腐よ」の言葉に誘われて、ためしに買ってみました。 日本のよりも身がしまっていて、かなり固いので、「これじゃあ、豆腐の角に頭ぶつけって・・・が本当になるなあ」と思ったものです。 でも、その味の良さにはびっくりしたものです。内容が濃いというか、やわらかいチーズを食べているような感じでした。 これがLife Food社の豆腐のはじまりです。設立者はドイツ人たち。当時は大豆やもやしづくりをしながら、家の地下室で一週間に4キロの豆腐を作っていたそうです。 その後、1987年には一週間に80キロの豆腐を生産、Taifunというブランド名で、市の中心街にある「Markt Halle」という、様々な国の料理を出すブースが集まったフード・モールに出店し、豆腐を売るだけでなく、いろいろな豆腐料理(豆腐バーガーなど洋風にしたものです)も出しました。 事業は着々と発展し、Taifunの製品はフライブルクの外にも普及し、生産工場も大きくなりました。 1997年には従業員は40人になり、さらに2002年には100人に、生産量は一週間に30トンなりました。 この会社はイノヴェーション賞を受賞したり、環境マネジメントやISOの環境監査をしたりと、模範的かつ環境にやさしい企業なのですが、とくに好感がもてるのは、 原料の大豆の50%をフライブルク近郊の有機農家から購入していること。 遺伝子操作にはきっぱりと反対の姿勢をとって、反対運動にも積極的。 残りの大豆は、フェアー・トレイド(公正な取引)団体に参加しているブラジルの農家から買い入れています。 とても健全で成功している企業なので、買い取ろうというオファーがくるそうですが、設立者たちは「絶対に売らない」と言葉に力をこめます。 Taifunの豆腐はふつうの固めのナチュラル豆腐(上の写真左)のほかに、絹ごし豆腐(右)もあります。 これの開発には苦労したそうで、開発当時は、フライブルクに住む日本人の女性たちが、モニターにされていました。プディングのようなくずれそうにやわらかい豆腐を食べては「まだやわらかすぎる」と回答したとか。私には回ってこなかった、残念。 絹ごし豆腐はある程度まで固くするのが、むずかしいみたいですね。写真の製品もプッチンンプリンみたいにやわらかいです。でもトロトロしていて口当たりはやさしい。ドイツ人向きではありませんが。 そのほかに、豆腐テリーヌとか燻製豆腐とか豆腐ハンバーグなど豆腐の加工製品も 売っているのですが、私がとりわけ好きなのが写真上の「グラフィティ」という豆腐テリーヌ。 味はテリーヌというよりも、がんもどきの中身に似ています。混ぜ物の成分を見ると人参とパプリカなのに、ひじきのような味がするのは「幻」なのかしら。 がんもどきが手に入らないので、これががんもどきの代用です。 ナチュラル豆腐はたいていは油で焼いて、厚揚げのようにしてから使っています。なにしろ、ドイツ人は豆腐を「なんの味もしない」というものですから(味というのも訓練が必要なようで、お餅とか豆腐の質感や味を見分けるには長年の経験が必要なのでしょう)、揚げることで、味がしたような気にさせなければならないのです。 Taifunのお豆腐は最高ですが、一つだけ困るのはお値段。一丁が豆腐ナチュラルでも250円ぐらい、絹ごしは300円ぐらい、薄っぺらい「がんもどきモドキ」にいたっては350円もするので、バクバクと食べるのはためらわれます。 でも、考えてみれば、企業運営に環境マネジメントをとりいれ、地元に雇用の場を、若者に職業訓練の場を提供し、地元やブラジルの原料生産者がエコロジカルな農業をやっていけるようなコストを払い、遺伝操作の心配のない大豆でつくってくれるお豆腐なのだから、これぐらいの値段は当然なのかもしれません。 一つ一つを大切に、よーく味わいながら、ありがたく食べることにします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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