ハーブと一緒に私のスマートライフ

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肩の荷をおろせる居場所に身を置き、
珈琲を相手に心身のバランスを微調整する。
私にとっては、カウンセリングに
通うようなものかもしれない。
その時の症状によって店を選び、
処方箋代わりの一杯と引き換えに
安寧を得る。
大袈裟ではなく、救いなのだ、
喫茶店という存在は。

1974年生まれの著者は、喫茶店についてこう語る。
この言葉がこの本のすべてを物語っている。

長崎県で生まれ、山口女子大学を卒業。
福岡県在住のフリーライターである著者は
珈琲を愛し、九州にあるいろいろな喫茶店を
この本で紹介している。

私自身、山口県生まれであり
子供の頃は九州を家族で旅したこともあり
この本を読んでとても懐かしかった。
子供の頃には、街には喫茶店があったな～。

東京にいると目にするのは珈琲チェーン店ばかり。

しかし、この本を読んでいると珈琲を
愛するオーナーたちの声を聞くことができる。

珈琲が好き。
人が好き。
そして地域に溶け込むマスターの人柄。

長崎の葡萄畑のマスターは
「喫茶業は、本当に答えのない仕事。
結局、誠を尽くすしかないですよね」と語る。

実際に、この本を読んでいても昔ながらの喫茶店、
昭和の喫茶店は少しずつなくなりつつある。
しかし、日本の喫茶文化を残そうと奮闘する人達、
家族経営で愛される喫茶店も数多くある。

大分の海辺と珈琲ことりの店主は
珈琲をファッションの一部としてとらえるかに見える昨今の
風潮は、単なる「おしゃれ合戦」にも映るという。

最後の章では自家焙煎珈琲蘭館の田原さんと
豆香洞の後藤さんの対談で珈琲について語られている。

珈琲って地味ですよ。
ものすごい手間とお金を投資して、できあがったものを
ハイと飲ませてみたら、あまり変わらんねとか平気で
言われる。努力する人としていない人の差が出にくい。

それでも、日本の喫茶文化を世界へと目指す
九州人の心意気はたくましい。

チェーン店の味しか知らない若者たちに是非
九州のいや日本の珈琲文化、そして喫茶文化を知ってほしい1冊。


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