カテゴリ:遊戯王SS
「やっぱり俺の勝ちだな、海馬」
海馬は仏頂面でカードを収めた。 一時的に日本に戻った隙を狙うように決闘を挑まれた上に敗戦を喫したのだ。期限が良くなるわけがない。 「しかし初めてではないか。貴様から俺にデュエルを挑むとは」 「……思い出したんだ、セトが最後に、俺にディアハを挑んだのを」 あの時は、時間がなくてどうにもならなかった。だから今、しようと思った。 「ふん、馬鹿なことを言ったものだ。おかげでまた、貴様と顔を合わせる羽目になった」 「俺に、会いたかっただろう?」 海馬は溜息をついた。 「貴様はいつも、自分にいいように解釈するな」 ああ、そうだ。 だからあの時、お前は俺の手を振り払ったんだ。 「ブルーアイズを得た、俺はもう、完成形だ」 「ああ」 「貴様は永遠に、不完全だ」 「……ああ」 だが俺は、仲間を得て、それを補って見せる。歪な形で完成してしまったお前より、ずっと美しい形で。 お前は、新しい俺をまた見つけてくれるだろうか、それとも、全く興味を無くして目を逸らせるだろうか? 「これからは、お前が王だ」 「……」 「いい王になってくれよ。……瀬人」 (6月5日 前日記より) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年08月06日 00時14分13秒
コメント(0) | コメントを書く |
|