カテゴリ:BLEACH SS
その朝、窓を開けたら、とてもいい匂いがした。
金木犀だ。 一体何処で咲いているんだろう、一階の僕の部屋からは見えない。 と思ったら、アパートの手前の家に咲いていた。 短い通学路のあちこちに、小さな黄色い花が咲いていた。 「おはよう、石田君」 「おはよう、井上さん。金木犀が咲いたね」 「そうだね!あたし大好きなの、この匂い」 「金木犀って、井上さんに似てるよね」 口に出してから焦った。 「髪の色とか」 「そうかなあ、だったら嬉しいけど」 ……そこにいるだけで、僕を幸せな気分にしてくれるところとか。 「そういえば、銀木犀って木もあるんでしょ?」 「あれは白い花だよ」 「じゃあそっちは石田君の木だね。うん、これで公平だ」 白っていうのは多分僕の服の色だよね?それって公平なの? 嬉しいけど。 「あっ黒崎君だ!おーい黒崎くーん!」 寝ぼけ顔の黒崎をとっ捕まえた井上さんは、今の話を繰り返した。 「お前朝からよくまあ……」 煩い、君は多分鼻が詰まっているんだろう。 この花の香に素直に酔えば、普段言えないことだって言えるのさ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年09月21日 11時27分58秒
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