カテゴリ:チャドウリ
ハンバーガーを食べたことがないといったら奢ってくれた。
パンだけで千円と言われてひっくり返りそうになった。 「え、百円とかじゃないのか?」 「俺もこれは初めてだ」 サラダセットとデザートをつけたら一人二千円近くになり、僕は小声で「やっぱりいい!」と訴えたが、無視された。 どれも思っていたよりずっと美味しかったけど、これは本来の彼の何日分の食費なんだろう……。 僕はそれからしばらく二人分お弁当を作った。 数ヵ月後、井上さんたちとその店に入ったら、もうあの馬鹿高いハンバーガーは売ってなかった。 売れ行きがよくなかったんだろうか? それ以来ファーストフード店には入っていない。 僕がハンバーガーを食べたことがないのは、師匠も竜弦もファーストフードが嫌いだったからだ。 体に悪いと散々言われていたので、僕も食べる気になれなかった。 あの日、奢りとはいえどうしてその気になったのか、彼がわざわざ一番高いものを食べさせてくれたのか、突っ込んで考えると結構頭痛ものなので考えないことにしている。 ただ、今でもその店の前を通るとそのことを思い出して、せっかく収入のある大人になったのに、あのハンバーガーをもう一度食べられないのは残念だな、と思う。 そして彼の為に、豪勢なハンバーガーを作ってみたりする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年09月29日 23時52分25秒
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