カテゴリ:BLEACH SS
「なんじゃ、わしがこれを着るのか?」
十二単を見た夜一は、少しも嬉しそうではなかった。 「いや、久しぶりにお姫様な夜一さんを見たいと思いまして」 「わしは久しぶりでも楽しくない」 「……浦原さん、話をつけてからきてくれませんか?」 勿論今日の料金は頂きますけど、と石田は時計を見ながらクレームをつけた。 「仕方ありませんね、お内裏様ではどうです?」 「ふうむ、まあその辺りで妥協するか」 「駄目です」 石田がきっぱりと拒絶した。 「十二単に加齢臭がつくじゃないですか!」 「ああっ、酷っ!」 大袈裟に泣き崩れる浦原を、手芸部及び写真部の面々が胡散臭そうに見ている。 「だってあたしたち駆け落ち同然に出てきたから、式もあげていないし籍も入れていないし、一緒に暮らしていないから内縁でもないじゃないですか。せめてそれらしい写真を撮ってみたいという乙女心、わかってくださいよ」 「おぬしの何処が乙女じゃ」 「いいからもう帰ってください」 そしてウェディング写真を撮れる所を当たって下さい。 「知っておるじゃろう、わしはそもそも服を着るのが窮屈でしかたないのじゃよ。裸でなら撮ってもよいが……」 「はあ?」 一同(石田含む)の目が点になる。 「仕方ありませんね、それでいきましょうか。雛壇だけ借りて」 「……貴方たち、僕を停学にしたいんですか?」 「あはは、冗談に決まってるじゃないですか」 浦原はひらひらと手を振るが、 「………………夜一さん、もう脱ぎだしてますけど」 「ああ、後で記憶を消しますか」 「止めてください今すぐ!」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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