テーマ:ワイン大好き!(30458)
カテゴリ:ひとりごと・備忘録
数日前の会社帰りのことです。帰路を急いでいた私に、伏目勝ちに近づいてきたスーツ姿の若者がいました。その青年は一瞬の逡巡のあと、意を決したように私に向かって話しかけてきました。
「あの、すみません‥」 道を聞かれるのかなと思った私は、頭の中で、一瞬どれがパークハイアットで、どちらがロイヤルパークだっけ、なんてことが頭をよぎったのですが、彼の口から出たのは意外な申し出でした。 「私は○×インベストメント(←名前は本当に失念)の新入社員ですが、会社の新人研修で、見知らぬ方と名刺交換してこいと言われていています。」 「ついては、僕とこの場で名刺交換をしてもらえませんか?」 そういえば、昔、10年ぐらい前でしょうか、こういう研修があると話題になりましたね。 彼の目は必死そのもので、嘘をついているようには思えませんでした。ふと、研修の成果に寄与してやりたい気持ちになりましたが、見知った会社ならまだしも、相手は名前も知らない会社の新入社員です。集めてきた名刺を、はたして会社がどう処理するのか、全く想像も出来ないわけで、後々、それがあの忌まわしいマンション経営の勧誘名簿に化けるとも限りません。 ‥というようなことまでは言いませんでしたが、思いつめたようにこちらを凝視している若者の視線に辟々としつつ、名刺交換は勘弁してくれ、ときっぱりと断りました。 肩を落として過ぎ去っていくその青年の後ろ姿を見ながら、私はなんだか苦々しい気持ちになりました。 ひとつは、たまたま名刺を持ち合わせていないとか、あたりさわりのない断り方をすることができなかった自分の機転のなさに対して。 もうひとつは、個人情報保護気運がこれだけ高まっている今の時代に、かような新人研修をやらせる、その会社の無神経さと時代錯誤な感覚、そしてその指示に無条件に従わねばならない立場の新入社員たちに対して。 まあ、しかし。そういう会社を選んだのも彼自身なわけですから‥、ね。 その後、彼は何枚の名刺をゲットできたのでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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