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話飲徒然草(S's Wine)

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2013年11月16日
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カテゴリ:ワインコラム




RWG誌のコラムの原稿を書いていますが、「脱酸素パック」の話は考察まで含めると、とても一回では書ききれないので、二回に分けて書くことにしました。
主催者のT氏とは検証のあと30回近くもメールで意見交換をしてきましたし、ここに来てやまじさんともいろいろとやりとりをしています。
Andyさんもさっそくブログに掲載してくれました。
http://www.matsubarafamily.com/blog/item/5634

まだよくわからないところやさらなる検証が必要なところもありますが、かなりいろいろなことがクリアになった気がします。

検証にあたって懸念していた点や疑問に思った点について再度おさらいです。

1 夏場30度を超える部屋で3年間常温保存していたとのことだが、熱による劣化は本当にないのか?少なくとも、高温により熟成はかなり進んでいるのではないか。

→頭で理屈を判っていても自分の舌で確かめないと納得できない部分がありましたが、実際に今回飲んだワインには熱劣化の症状は見られませんでした。
一方で熟成がセラーのものに比べて気持ち早いかな、という感じはたしかにありました。しかし、これについてもネガティブな印象ではなく、香りがよく立っており、味わいも概してクリーンでした。
高温というファクター自体は熟成の促進にはつながるが、劣化の直接の原因ではない、劣化の原因はあくまで高温にいたるまでの、あるいはそこから下がるときの温度変化だということなんでしょう。

2 昼←→夜、夏←→冬といった温度変化の繰り返しにより、劣化が見られるのではないか。私がかつて検証した「夏場冷蔵庫、それ以外はリビング保存」のボトルたちは決定的な高温に晒されなかったにもかかわらず、2〜3年後にはかなりの変化が見られた。

→温度変化による劣化の原因が酸素の流入以外、たとえば膨張と収縮の繰り返しが液体の組成に何らかの悪影響をもたらしたとかであれば、3年間常温で保存した今回の脱酸素パックのボトルにも何らかの劣化が見られたはずです。

しかし、今回のワインたちには明確な劣化は見られなかった。となると、やはり原因は酸素の流入だったということになるわけで、私たちがよく出くわす「噴いてはいないけれども明らかに熱劣化している」ボトルの原因は、温度変化によって中の液体や気体が膨張したり収縮したりを繰り返すうちに酸素の流入が増えたというのがファイナルアンサーといってよいのではないでしょうか。

3 スクリューキャップのワインで還元状態になるリスクが指摘されているように、このメソッドでも酸素が完全に遮断されることによって還元状態になるのではないか。あるいは(1と矛盾するが)熟成が阻害される、綺麗に熟成しないということはないだろうか。

→今回のボトルたちでは還元は見られませんでしたし、3年とはいえ、熟成も順当に進んでいたように思われます。
ただ、これについてはもう少し検証が必要な気もします。たとえば、ボトルたちは「立てて」保存されていましたが、もし寝かしていたらどうでしょうか?ヘッドスペースの空気は横にしたボトルの上部に行き、コルクとは直接接しなくなります。気体の中にSO2が充満しても、排出されずらくなり、リスクは高まるかもしれません。いやしかし、今までの計算のように、ボトル内のSO2の多くは醸造時に取り込んだ酸素との結合で消費されてしまっているので、還元や熟成が進まないなどといった心配をしなければならない量ではないかもしれません。試してみないことにはなんとも、です。

4.結局のところ、ワインが熟成するためには瓶詰め後に微量の酸素が継続的に供給される必要はあるのかないのか?

→今回のボトルがどれも綺麗に熟成していたことを思うと、少なくとも3年というスパンでは、必要ないと断ずるほかありません。
では、継続的に供給され続けるるボトル(=通常のボトル)との熟成の差はどうなのかということについては、もっと長期にわたる検証をしないとなんともいえないです。
たとえば常温保存でなく、災害時の保険用にセラーのボトルにこの脱酸素パック処置を施した場合、数年は全く問題ないとして、10年15年と寝かせたときに、熟成が遅くなるとか、熟成の仕方が変ってくる、ということがあるのかないのか。もっともこれは必ずしもネガティブな予想だけでなく、より良好な熟成を遂げている可能性だってあるわけです。まあその前に袋の耐久性が問題になりますね。

5.噴いてし脱酸素 ワインまっても劣化はしないのか?

→今回の検証ワインには噴いているものはありませんでしたが、仮に噴いてしまっても代わりに流入してくる空気の中に酸素はありませんから、劣化はしないでしょう。ただし、前にも書いたように、いったん空気が入り込むと、気体と液体の膨張率の違いから、ちょっとした温度変化でも液体が流出しやすくなります。よって、いったん噴いてしまったボトルについては、以降は温度変化の少ない環境にに保存していおいたほうがよいのでしょう。


5.スクリューキャップのボトルは常温で置いておいても劣化しないというのは本当だろうか?

→前に私が唱えた説ですが、上の理屈でいけばそういうことになりますよね。
高温環境でも温度変化でも、結局のところ劣化の原因は酸素の流入ということであれば、酸素がほとんど流入しないスクリューキャップのボトルは劣化しないことになります。どなたか試してみてください(笑)。

#そうなると、SO2のバリアを持たないSO2無添加自然派ワインなどはスクリューキャップを積極的に採用するのがいいのではないかと思ったりもするのですが、どうでしょうか。


もろもろ考えるに、この脱酸素パックを使って保存する場合は、『ボトルを寝かせるよりは立てて』、(袋内はほぼ湿度100%になるらしいのでコルクの過度の乾燥や液体の目減りの心配はない)『ある程度温度変化のある環境下で』(そのほうが通気性が高まりガス交換が活発になる)、『特にビオワインなどにおいて』最大の効果を発揮するのではないかという気がしてきました。これって現状の保存のセオリーとは正反対ですが、ガスバリアコーティングと脱酸素剤という現代の技術革新の賜物なわけですから、保存方法もそれに応じて変ってくるということがあってもよいわけで‥。

(断続的につづきます)





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Last updated  2013年11月24日 08時03分04秒
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