カテゴリ:ワインコラム
RWGの次号コラム用の備忘録です。文章雑ですが、お赦しを。 比較ボトルはB・アンブロワーズのACブルゴーニュのそれぞれ赤と白。 ブラインドで比較しましたが、そもそもブラインドするまでもなく、(写真ではよくわかりませんが)色調を見てすぐ判別できてしまいます。常温保存のボトルは色調がやや淡めになっており、くすんだオレンジの色調がかなりはっきり見て取れます。 A 最初やや寡黙、回すと黒系の心地よいフローラルな果実とスパイス。 味わいはアロマチックな果実味が豊かに口の中に広がり、じりじりした酸となめらかなタンニンがそれを支えている。口の中での表情もあり、余韻もほどほど。広域銘柄としてはかなり良好な香味。 B 香り華やかでよく開いている。黒系のジャミーな果実、紅茶、それにやや鉄さびっぽいニュアンスあり。味わいは優しくおだやかで、酒躯がほどけてコアがなくなっている。といっても、印象は決して悪くはなくて、Aのワインが時間を重ねるととこういう感じになるのではないかというまさにその延長線上にある印象。あえていうと、フィニッシュがAに比べてややザラつく印象がある。 Bのワインは果実味の質が決定的に違う。 Aの方がグリップがしっかりしている。Bは硬く閉じこもっていた果実味がほどけて優しく穏やかになっている印象で、テクスチャーがなめらか(毛羽立った感じはない)。こちらはこちらで悪くはないし、素性を知らされずにブラインドで飲んだとして、これを2年間常温保存のボトルとはまずわからないだろうと思われる。 その点、AはBに比べるとコアがあって、グリップも明らかにBよりしっかりしている。 というわけで、Aがセラー保存で、Bが常温保存でした。 まあ、全然科学的な検証ではありませんし、そもそも比較対象となる通常コルクのボトルがないのでなんともいえないのですが、その昔、私がリアルワインガイド誌黎明期に連載していた「ワインの保存」の検証では、2年を常温で過ごしたボトルたちは、もっと顕著な違いがありました。 そういう意味では、やはり酸素流入の少ないスクリューキャップということで、2年を常温で過ごしても破綻をきたすことなく済んだのではないかということでしょうかね。 逆に言えば、酸素流入量が極めて少ないスクリューキャップであっても、やはり高温の影響を受けるということです。今回のボトルには明らかな違いがあった(優劣はさほどでなくとも)ということは、温度変化による酸素の流入を阻んだとしても、それなりに液体は変化をきたすということがわかります。(すなわち、脱酸素パックにしても、セラー保存と同じわけにはいかないということでもあります。) ここで挙げられる仮説としては、 ・コルクを通じた酸素の流入が無くても、高温環境におけばワインはその影響を受けること。 ・(やや希望的な見方かもしれませんが)今回のように酸素の流入を遮断すれば、熟成の促進はあってもネガティブな影響は比較的抑えられること。 というところでしょうか。つづけて白も開けましたので、近いうちに。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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