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2019.05.23
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カテゴリ:漫画
梶原一騎の野球漫画といえば『巨人の星』だが,それ以外にも『侍ジャイアンツ』だとか色々ある。今回は電子で『おれとカネやん』を読んだのでとりとめもなく感想を書いていく。以下,引用は全16巻の電子版から。


おれとカネやん 1【電子書籍】[ 梶原一騎 ]

タイトルの「カネやん」というのはプロ野球選手の金田正一のことである。数々の記録を持っている名選手だ。本作は,カネやんこと金田正一に憧れる少年の物語という形になっている。
連載開始時期は1973年。すでに『巨人の星』の連載は終え,1971年から始まった『侍ジャイアンツ』も終盤に差し掛かったくらいの時期だ。なお,この1973年には脱スポコンの記念碑的な作品である『愛と誠』の連載が始まっている。そんなわけで,本作も従来の作品と方向性を変えようとした模索した形跡が見て取れる。

主人公は勝三四郎。
金田正一が期待のルーキー長嶋茂雄との初対決の日,長嶋を4打席4三振にとったことにちなんで三四郎と名付けられたのだ(電子1巻31)。
名づけのセンスが古風だが,昭和33年4月5日生まれならば実際こんなものだろう。
この三四郎は父親が金田のファンだったということもあって,野球を始め,小学校,中学,高校,プロ野球と舞台を変えて活躍をしていく。電子版は全16巻なんだけど,プロ入りは11巻だから,物語の半分以上を過ぎたタイミングになる。プロ野球中心であまり学生野球を描かない印象の梶原一騎としてはちょっと意外なのかな。

本作の最大の特徴は金田正一という人物の扱いだろう。
主人公の目標というか,崇拝すべき人物が最終的に乗り越えるべき相手になる感じ。星一徹あたりにそんなところがないでもないが,崇拝から入るキャラは『巨人の星』にも『侍ジャイアンツ』にも見当たらない。あえていうなら,『空手バカ一代』の大山倍達にとっての宮本武蔵みたいなものか。

三四郎は父から与えられた「聖書」である金田正一の自伝を読み込んで,人生の指針にしていくわけだ。
そうしてプロ編で三四郎は金田正一が監督を務めるロッテに入団し,大活躍をしロッテを優勝に導く。しかし,金田によってトレードに出され,バファローズに移籍させられてしまうのだ。金田率いるロッテは三四郎の手の内を知り尽くしているため,魔球・二段ホップが撃ち込まれて苦戦をする三四郎だが,金田に裏切られたという苦しみをバネに三四郎は本格派投手として成長を遂げ、バファローズを優勝に導くのだ。
しかし、これには裏があった。三四郎の得意とする二段ホップは投げすぎると三四郎の選手生命を奪う魔球なのだ。金田は,あえて二段ホップを攻略し,もう投げさせないということで三四郎を救い、さらなる成長を促したのだ,というところで本作は終了する。

梶原一騎作品には強敵のほか,超えるべき師匠キャラがいる場合が多い。ある意味で金田正一は本作の「憧れの人物」から「超えるべき人」になったというべきか。
また,魔球・二段ドロップを捨て,本格派投手としての成長をするという必殺技の否定には,本作と同年の1973年に連載の始まった『紅の挑戦者』なんかを思わせる。必殺技に頼りすぎると,どうしてもそれを攻略されると歯が立たなくなる。穴のない,真の実力をつけることが大切だということだわな。

また,ちょっと珍しいのが恋愛描写だ。三四郎はアイドルに失恋して空手道場の娘とピュアな恋をし,最終回では婚約までやる。このアイドルへの憧れと失望なんかは梶原一騎自身にもあったらしく,色々考えさせられる。
悲劇で物語を締める梶原一騎なので,「あっ,この婚約者は電車の事故とかで死ぬな…」とか思ったけど,別にそんなことはなかった。

個人的に気に入ったのは三四郎の父親,勝大吉である。
この父親は土方をしていて頑固なところもあるという,絵にかいたような昭和の親父だ。ケンカに負けて帰ってくると,「勝つまで家に入れない」と言って三四郎を追い出したりもする。
だが,『巨人の星』の星一徹とは明確に違う。たとえば,三四郎のために貸衣装を用意してひとり応援団としてかけつけたりする(2巻67)。



高校生ころから,父親は少しづつ厳しくなっていき「獅子は子を突き落とし,這い上がってきた子だけを育てる」という考え方になるものの,三四郎が活躍するとすごく嬉しそうな表情をしたりする。
また,三四郎の方も高校中退後,ロッテの入団までの暇な帰還に自主トレーニングとして父といっしょに土方の仕事をしたりする(11巻53,54)。








非常に温かい,を通り越して熱いシーンであって,僕はこのシーンが本当に好きである。魅力を言えば,星一徹に勝るとも劣らない。

最後にちょっとした不満点。
父親だとか憧れの金田正一みたいな上の世代は満足できたが,本作では同世代がかなり弱い。
主人公には中学時代には赤沢,高校時代には団というキャッチャーと親友になるが,『巨人の星』の伴忠太と比べると一段落ちる。また,ライバルにしても織田信虎は『巨人の星』の花形満なんかに比べたら劣る。

このへん、ちょい文献を当たってみた。
漫画を担当した古城先生は、こう言っているそうな。
「安定した仕事ではあったけど、正直言って愛着を感じることができない作品でした。明らかに『巨人の星』の焼き直しでしたからね。(斎藤貴男『梶原一騎伝−夕やけを見ていた男』252頁、文藝春秋社、2005年第1版)
まじかー、という感じである。あと、打ち合わせが適当だとか色々あったみたい。
一つの仮定として、『巨人の星』さえなければ、と思わなくもない。どのみち、梶原一騎の実力からすれば『巨人の星』がなければ、別の野球漫画で大ヒットを出していただろう。『巨人の星』によって梶原一騎はある意味で、これと違う展開をさせなければならないという制約を得た。もし、『おれとカネやん』を、梶原一騎が何の制約もなく野球漫画をかけていたら本作こそが不朽の名作になったいたかも、というのは考えすぎだろうか。


おれとカネやん 16【電子書籍】[ 梶原一騎 ]





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最終更新日  2019.05.23 10:28:59
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Re:『おれとカネやん』感想(05/23)   人間辛抱 さん
初めまして、
ネットサーフィンから来ました。
宜しくお願い申し上げます。
テーマから外れてしまいますが、
「新・巨人の星」の文庫本が
私の部屋にあります。 (2023.09.10 12:50:05)


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