(令和5年8月29日)中日春秋丸写し 八つ当たり政治利用の解夏空し♪
中日春秋 (書写) 八つ当たり政治利用の解夏空し 一九七二年夏、就任から一カ月もたたぬ田中角栄首相は公明党の 竹入義勝委員長と私邸で面会。公明がかねて前向きな日中国交正常 化は「考える余裕もなければ、今やる気もない」と語ったという▼ 政権発足直後は積極的だった角栄氏も自民党内の反対派の勢いに意 欲は後退。二度目の訪中直前だった竹入氏が「竹入は親しい友人だ と、一筆書いて」と頼んでも断ったらしい▼竹入氏が北京で周恩来 首相に「毛沢東主席は賠償請求権を放棄するといっています」と聞 かされて帰ると政権の空気は変化。角栄氏は竹入氏に「わかった。 中国に行く」と言ったという(服部龍二著『日中国交正常化』)▼ 対中外交に貢献してきた公明の山口那津男代表の訪中が直前に延期 された。中国側いわく「適切なタイミングではない」。東京電力福 島第一原発処理水の海洋放出への反発が背景らしい▼放出後、中国 発の嫌がらせ電話が日本に殺到し、中国のネットでは日本製品の不 買呼び掛けも。経済が低調で、国民の不満の矛先が日本に向けば中 国政府に好都合との見方もあり、対応は期待できぬらしい。対日関 係改善は「今やる気はない」のだろうか▼山口氏は岸田文雄首相の 習近平国家主席あて親書を持参し近々の首相同士の会談実現を図る つもりだった。残念ながら、先方が昔の角栄氏のように、短期で思 いを改める可能性は小さい気がする。