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第十二章
だんだんと遠ざかる眼下の景色を、黒田はぼんやりと機内の窓から眺めていた。 冴子は今頃、どうしているのだろうか?何故あの時、< 絶対に別れない! >と、 ひとこと言えなかったのだろうか?
押し止めたのだった。
シートを 倒しながら目を閉じた時、
いる。
小雨に煙るロンドンは、肌寒く感じられる。スーツケースが出てくるのを待っている 旅客の中に、冴子の姿を黒田は追い求めた。
納得させる自分が、黒田は悲しかった。
いちど亀裂の入った夫婦関係は、もはや修復不可能だった。 というより、冴子には修復する気持ちが失せていた。子供たちへの愛だけがなんとか 冴子を支えている。
温泉の領収書が出てきた。二名宿泊の明細書と共に。その日付は、東京で展示会がある からとして、夫が一泊二日の出張で家をあけた日である。 これ以上無意味であると、冴子は強く感じた。
生理が二ケ月ほど、冴子に訪れていない。 夫との性関係はもはやないので、もし妊娠の可能性があるとすれば、黒田との最後の 愛の結晶としか考えられない。このことがパンドラの箱を開け、黒田への想いをまた 激しく、再燃させたのであった。妊娠を夫に知られる前に、離婚を成立させなくては・・・
離婚そのものには夫も同意していたが、二人の子供の親権を巡って、両者が一歩も 譲らなかった。 結局、桃華を夫が、梨華を冴子が養育する事で、決着をみた。 桃華を手放す事はとても辛かったが、愛する人の命が自分に宿り、梨華と共に これからの人生を生きる喜びの方が勝った。
子供を連れて実家に戻ると、両親は娘の不幸を嘆き悲しんだ。しかし、日が経つに つれ、娘と孫に囲まれた生活を、むしろ喜んでいるような節がみられた。 想いを、抑える事が出来なくなっていた。 冴子は梨華を連れて、ロンドンへと旅立つ。
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