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想い出は心の宝石箱に。。。

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2014.11.20
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                                    第二章

 

 

    ニューヨークのジュリアード学校に、梨華は推薦されて入学した。

    1926年、音楽関係の専門大学校として設立され、その後舞踊部門、演劇部門が開設

      されることに伴い、ジュリアード音楽院からその名称を変えていた。五島みどり、

      中村紘子、ヨーヨーマ、チョン・ミョンファを初めとして、多くの優れた演奏家を輩出

      している、音楽界では名門校である。


 

                       




     学内でも梨華の演奏の評価は高く、

  ( 信じられないほどの感性、超絶技だけでなくつややかで、ロマンチックな音楽性を

          持っている。)

   と、これからの音楽界を背負う逸材として、誰もが太鼓判を押したのだった。

     ジュリアードを梨華は、首席で卒業。

 


   バロックから現代音楽まで幅広くこなす梨華のことを、音楽界ではマルタ・アルゲリッチ

     の再来と称した。無口ではあるが気性が激しく、その点もアルゲリッチとよく似ていた。

     音楽的に納得出来ないフィルハーモニー楽団との演奏会では、勝手にキャンセルして

     帰国してしまうことがよくあった。また、マスコミ・メデアが大嫌いなことでも有名で、

     梨華の個人的な部分は謎として、世の中ではあまりよく知られていない。


 

        

 



   しかし、その才気溢れる演奏、そして人がうらやむほどの美しい容姿から、観客を呼べる

     数少ないピアニストとして、各国の著名な交響楽団からひっきりなしに声がかかった。

     クラシック離れが顕著な中で、梨華の出演する演奏会のチケットだけは、恒に完売。

     世界のプロモーターとしても、梨華の演奏を入れたプログラムで、興行を打ちたいと

     誰もが願っていたのだった。


 

 

              演奏会情報 

 

 

   札幌交響楽団のようなマイナー楽団との共演を今回応諾したのは、孤独な少女期の心を

     癒してくれた街、札幌に対する梨華なりの、恩返しの気持ちに他ならなかったのだ。

     尾高の指揮のずれに幾度となく、演奏を中止して引き上げたいと思った。しかし母国での

     久々の演奏でもあり、養育してくれた叔母が会場にいることが、その気持ちをなんとか

     押しとどめた、といっても過言ではない。

                      

                 

                         

 


    降り頻る雪が、梨華の後方に続く足跡を、次々と消していく。

  母、冴子は父と離婚し、姉桃華でなく梨華を選択した。そして自分を連れて
ロンドンまで

    黒田の後を追いかけていった理由が、梨華にはいまでも理解出来なかった。



 

                    




     梨華自身、妻子ある飛鷹との関係を続けているが、自分があくまで独身で
あるからこそ、

     その関係維持が可能と思えた。二人の子供を抱えながら、黒田との恋に墜ちた母の気持ちを

     なぞるように、梨華はふと飛鷹のことを想い出していた。


     たくましい飛鷹の胸に抱かれ、女としての喜びに浸るひととき、梨華はそれだけで

     よかった。 しかし、冴子には夫がいて、桃華と梨華という子供を抱えていた。女としての

     愛と、妻・母としての顔をどのように、使い分けていたのだろうか?

     当時幼かった梨華には、やさしい母としての冴子の笑顔しか、どうしても思い浮かばな

     かったのだが・・・・

 

 

                    つづく~  いぬ    いぬ

 

 

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Last updated  2014.11.21 20:40:39
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