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想い出は心の宝石箱に。。。

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2023.11.25
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カテゴリ:創作
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                                第四章

 

 

 トミー・・・誰もが自分の事をそう呼ぶ。

  名前は英語なのに、自分のアイデンティティが、どうしてもわからない。

   自分の国籍は、いったいどこなのか? ウイーンのケルントナー通りを、

 足早に
行き過ぎながら、トミーはふと思った。



  
Karntner ストリート ウィーン - ウィーンのロイヤリティフリーストックフォト



   ロンドンの孤児院から脱走し、いまや闇の組織に身をおくトミーにとって、

 父と母の記憶は
全くない。養父アンドレ・ニコライエフと、過ごした日々だけが

 すべてであった。


   アンドレが国際的テロリスト集団のリーダー的存在であることは、取り巻き連中の

 言葉使いや
態度からも、容易に推察出来た。



 中東の犯罪組織であるアルカイダのハッサンと、ウイーンで接触せよとの指示を、

 アンドレ
からトミーは受けていたのだ。



    
Vienna Austria.St. Stephen's Cathedral Stephansdom


         
 シュテファン寺院の尖塔が夕陽に赤く染まり、まるで燃えているようである。

  トミーは指定された場所へと急いだ。ケルントナー通りから、一本外れた裏道に

 その
ホイリゲ(  ワインの居酒屋  )があった。

 

 

     店内はこんな雰囲気。<br /><br />偶然、となりから生演奏が漏れ聞こえてきた。<br />「しゃぼん玉」<br />日本人の団体客がいらしていたらしい!!<br /><br />ラッキー。日本の童謡メドレーをBGMに一杯いただく。

 


  奥隅のテーブルに座り、タバコをくゆらしている男の顔を、ローソクの光りが

 照らして
いる。頬の傷、漂う冷酷な雰囲気、闇の世界に生きる者の感として、

 その男がハッサンと
すぐにわかった。トミーは前に座ると、単刀直入に商談に

 入った。



 ( 何丁、必要なのだ? )

 ( カラシニコフ AK-47 500丁。 )


   ハッサンは、短く答えた。


 ( いつまで? )

 ( 来月末。支払いは、いつも通り。 )


   そう言うと、ハッサンはワイングラスを 口に運んだ。

 

 

  ウィーンの音楽社会    

            

 

 リング通りを過ぎ、ムジークフェライン(楽友会ホール)に出る。

  ウイーンフィル活動の根拠地であり、コンサートの日程と共に掲示されている、

 日本人
女性の写真がトミーの目にとまった。

 

 

                               ​   泉梨華

                 遂に、協演実現! 現代の妖精、音楽界の至宝

            曲目はベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番< 皇帝 >

 

  掲示内容を読んでいると、不審な三人の男の姿が遠巻きに、ガラスに映っている。

  ホイリゲを出た時から、後をつけられていると、トミーは感じていたが、これで

 確かな
ものになった。


 トミーには、インターポール(国際刑事警察機構)の国際指名手配が
かかって

 おり、これまで幾度となく危ない橋を渡ってきたのだった。

 

 

     




   トミーは追手を撒くため、リンク添いの市庁舎前広場へと逃げ込んだ。

   アルプスの山小屋を模した、賑やかな屋台がずらりと並んでいる。11月中旬から

   クリスマス市が、そこにはたっている事を知っていた。マーケットはホットワイン

 の
カップを片手に、クリスマス・グッズを買い求める客で雑踏をきわめていた。

 

       

       クリスマスツリー

 

 

  時折後ろを見ながら足早に急ぐトミーは、女性にぶつかった。

  (   Verzeihung !!・・ )

   雪道に足をとられて転倒した彼女を、抱きかかえて立たせてみたが、どうも足首を

   痛めたようである。


 自宅のアパートが歩いて15分位の距離にあるという。

   恥ずかしがる彼女を背負って、トミーはマーケットを離れた。

   これがカテリーナとトミーの、運命的な出会いであった。




    走る犬のgifアニメ走る犬のgifアニメ   ==つづく==   走る犬のgifアニメ走る犬のgifアニメ走る犬のgifアニメ

 

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Last updated  2023.11.25 13:00:01
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