![](//image.space.rakuten.co.jp/lg01/41/0000039241/40/img10c86cfazikczj.jpeg)
『日本の喜劇人』 小林信彦著 (新潮文庫)
3~4年前に拾い読みして、ほとんどわからなくて放置して、今度わりとしっかり読んでみて、やっぱりほとんどわからなかった本。戦前・戦中の古川緑波(ロッパ)、エノケンから森繁、伴淳、トニー谷、フランキー、脱線トリオ(由利徹!)、渥美清、クレージー、萩本欽一。大阪では古くはエンタツ・アチャコから藤山寛美・・・。名前は見聞きしたことはあってもリアルタイムで体験したのは欽ちゃんぐらい(しかもコント55号解散後)という自分のような世代には分かりようがないのが当然。知りたいという欲はあるけど、活字で読んでも空しさがつのるばかり。実体験しないことには、ねぇ。。。著者・小林信彦氏は昭和16年、小学生のときにロッパの喜劇舞台をみて衝撃を受け、その後笑いの世界にのめりこんでいく。すごいのは氏が日記に残してきた膨大な記録。いつどこで誰がどんな演目でやったかはもちろん、細かいギャグまで克明に記してあるようで、のちに放送作家を経て大衆芸能のアンソロジーや小説も数多く手がけることにもなるのだが、人生を一貫するこの熱の入り方は尋常じゃない。舞台から映画、そしてテレビ、それぞれの栄枯盛衰。細かい事柄をひたすら積み上げて書いてあることにより時代の大きな流れを感じることができる。喜劇役者で売れたのち、ある程度キャリアを積むとシリアスな芝居を目指すもの、変わらず笑いに徹するもの。数多くの喜劇人の姿を通して、昭和の空気を伝えています。あと、「アチャラカ」と「ドタバタ」の違いについても触れられていて、同義語で使わている言葉だけど小林氏は「こまかい計算によるタイミングよい動きで見せる喜劇がドタバタ、きちんとしたルールから脱線してゆくのがアチャラカ、という風に私は峻別している」と書いている。へぇ。
スカパーの「日本映画チャンネル」とかに入ると、いいのがたくさん観れるんだよなぁ。。まだしばらく机上の想像で空しき日々を送ります。