カテゴリ:映画
今年の新春映画、シネコンはどうなんでしょう。宣伝はいつもどおり大々的にやってるんでしょうが、あまり食指を動かされるようなのが見当たらなくて・・・ ミニ・シネマの方は「食を考える」がテーマとなった面白そうなのが目白押し。 ナレーションもなく、ストーリーもなく、コメントも最低限のテロップも、音楽さえない、不思議な映画でした。その内容は、我々が日常口にするさまざまな生き物(動植物)の生産・加工現場の紹介。(テレビの人気番組「世界一受けたい授業」で、何を作ってるところでしょ~か、という社会見学編がありますが、あれの生き物バージョンを芸術的に見せると考えてもらえば良いかと思います) とにかく美しい映像なのです。カメラワークが実にいい。適当な場所にカメラを置いて興味本位で撮りまくったというのとは全く違います。どれもこれもが絵になっている。豚や牛の解体作業ですら見とれてしまいます。 今、豚牛の解体作業と言いましたが、そういう血生臭いはずの事柄がこの映画では(というか、実際の現場でも)ちっとも残酷ではないのですね。この「残酷」とか「かわいそう」という感傷に挑んだのがこの映画の凄いところでしょう。この作品をもっとセンセーショナルに宣伝したければ、「平成世界残酷物語」とでもすれば良かったと思います。(私には「いのちの食べかた」の方が幾段も優れていると思いますが) この映画を観終わった後、じんわりといろんな感想が湧き出して来ました。人間の持つ「感傷」とは何なのか。豚や牛やヒヨコは物として扱わなければ、感傷が生じてしまうものらしい。名前を付けてはいけない所以ですね。そう言えば人に一人一人番号を付ける総背番号制というのがあったなあ、何か馴染めないと思ったら、こういうことだったんだなあ、とか。 そう言えば、欧米人は人間以外のものには魂が宿っていないという考え方を持っていたんだっけ? 最近は捕鯨反対論争なんてのがあって逆転してるけど。 ・・・いまだに映像の断片がちらちらフラッシュバックして、生と死、魂、食物連鎖、職業の貴賎、感傷、ベジタリアン、輪廻、宗教、宇宙・・・などに思いを馳せかけてしまいます。 最後にこの映画を一言で評したら・・・丸投げ映画! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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